第18話:悪いのは誰?
クマに襲われた結果、ハイキングは中止になり宿泊施設に戻って来る事になった俺達。
「うぅ……お腹減ったぁ……」
机の上で、ぐでーっとしている檸檬
「ごめんな檸檬」
「いやー大丈夫、翔が無事だったから、こうして言ってられるし……」
「そうだね、カレーは残念だったけど翔君が無事で良かった」
「でも食べたかったですね……」
そう言うと皆のお腹が鳴る。
「でも、この後どうするんだろうな……」
「ん~やっぱり今日はぁ~このまま室内ですごすのかなぁ~」
「仕方ないわよ、出た熊も見つかって無いですし」
山奥まで逃げたのか熊は出て来ていない、だが所在が分からない以上熊の出る危険性を考慮しなければいけなくなっていた。
そんな時、通りがかった男子達の声が聞こえた。
『そういえば、隣のクラスの佐伯って奴が熊を無駄に挑発したせいで、ハイキングもキャンプファイヤーも中止だって』
『はぁ!? マジかよ……最低だなソイツ』
『そうだよな! 楽しみにしてたのに……』
(意図的に聞こえる様、話してた訳じゃ無いしほっとくか)
聞き流そうとしてたら檸檬が立ち上がった。
「ん? どうした檸檬?」
「何今の! 許せないんだけど!!」
今にも飛び出しそうな檸檬の手を掴んで止める。
「まぁまぁ……あいつらも突然中止で、鬱憤が溜まってただけでしょ」
怒る檸檬を宥めつつ、座らせる。
「翔は悔しくないの!? あいつ等にある事無い事言われてるの!!」
「そんなの、言ったところで解決するわけじゃ無いし、ムキになって反論する方が印象悪くなるだろ」
「でも、許せない……」
「ですね……放っておいて、悪い噂を流されても困ります」
真白といつの間にか切り替わった藍那が席を立つ。
「でも~それで翔が不利益を~被るのは~違うと思うよぉ~」
そう言いながら立ち上がる蕾。
「ちょっと待って! 確かに偶然だったかもしれないし皆を逃がす為に、大声出して注意を引いたのも事実だよ!」
「でも、それを翔が全部悪いってひっ被されるのはおかしいだろ」
「そうね、あくまで佐伯君は皆を助けようとした、キャンプ場に熊が出たのは偶然、彼らはそこを間違えているもの」
雨音も弓場さんも立ち上がる、その直後言い争う声が聞こえた。
どうやら先程の男子と、見知らぬ女子が言い争いをしている。
『佐伯君は、皆を逃がす為に大声出したのよ!』
『はぁ? 知るかそんなもん! そいつのせいでこの後、ここに閉じ込められるんだぞ!』
『そりゃそうでしょ! 熊が出たんだからそんなの当然よ!』
段々と剣呑な雰囲気になっている。
「うるせえな! 黙ってれば良かったんだぞ!」
「なによそれ! 被害が出てからじゃ遅いのよ!」
「俺達に出てるじゃないか!」
「一目散に叫んで逃げた癖に!」
「んな! それは……」
どうやら同じ班だったのか……とゆうかあの時一目散に逃げてたのが彼か……。
「そろそろ止めないと不味いな……」
周りの空気が悪い方向に流れている。
「それに、佐伯君が居て皆が無事だったから、続けるかの話し合いが行われてるのよ! それなのに悪く言うなんて!」
「ああもう! うるせえな!」
手を振り上げた瞬間、声を掛ける。
「あのー、ちょっといいですか?」
「何だよおめぇは!」
「誰なのよアンタ!」
「えぇ……それを貴女が言うんですか……」
そう言うと女子の方が目をぱちくりさせて、「もしかして?」と言う。
「うん、今話題になってる佐伯だね」
「てめぇが余計な事をしたから!!」
男子の方に睨まれる、割とコイツは罪の意識あって、人に擦り付けようとしてるな?
「すまなかった、大切な友達を助けるとはいえ、不用意な事をしたと思ってる、だからそれで言われるのは仕方ないと思う。だけどな、お前今、手上げようとしたな。しかも女の子相手に」
いざという時の為に自己暗示しとくか……これなら他人に迷惑かけないし。
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始動キーは【5秒後】
内容は【俺が彼の攻撃を、怪我させない様に。避けれるようになる】
解除キーは【解除したいと思ったら】
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そう言って睨むと、相手は怖気着いたのか上げた手を降ろした。
「別に悪く言うのは、1万歩譲っても仕方ないよ。腹も減ってるし、楽しみも潰れされて苛立つのはわかる、でも女の子に手を上げるのは違うだろ」
「くっ……すまなかった」
「俺じゃ無いだろ、この子にだろ」
そう言うと彼は向き直り女子に謝る。
「まぁ、揉め事はコレで終わりにしてくれ、俺も腹減って仕方ないんだ……」
そう言うと、俺の腹が良い音で鳴く。
「まぁ、そうゆう事で、悪かったな楽しみを邪魔して」
そう言ってみんなの所へ戻ると、雨音と弓場さん以外不満そうだった。
「何かあったの?」
「何かあったというか……」
「何かしたというべきか……」
真白に顔を向けると頬を膨らませてそっぽ向いてるし、檸檬は珍しく不機嫌そうだ、藍那はすましてるけどそっぽを向いている、蕾も同じような感じだ。
「えぇ……意味が分からない……」
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