第4話:黒髪少女と迷い猫
下駄箱前で待っていると檸檬の双子の姉である真白ちゃんとふらふら揺れている女の子がやって来た。
(やべえ、、催眠術は効いてると思うけど……バレませんように!)
「おまたせ、檸檬ちゃん。結構待った?」
「おまたせぇ~」
「そんなに待ってないよ。真白、蕾ちゃん」
「なら良かった、えっと……檸檬ちゃんとよく決勝でぶつかってた……弓場さんと……」
「進藤です、そういえば自己紹介した事無かったね。瞳の幼馴染で男子テニス部の
そう言って雨音は軽く頭を下げる。
「それでそちらの……ん?」
「佐伯がどうしたの? 真白顔赤いよ?」
「い、いや何でもないよ。柊 真白です、よろしくお願いしましゅ!」
「あっ、噛んだ……」
「……んん!!」
舌を噛んだのと恥ずかしいので喋れなくなってる真白ちゃん、大丈夫かな?
「どうも柊さん。俺は、佐伯 翔です」
「えっと……ごめんね、佐伯君はどこかで会ったかな?」
その言葉に催眠術が解けたかと思いひやっとする。
「え~なになに真白、いきなりナンパ~?」
「ち! 違うよ檸檬ちゃん!?」
「あー、そう言えば今朝の電車で俺の前で寝てた女の子か!」
忘れているようなので、これ幸いと話をずらす。
「はうぅ……」
「え~ましろ~寝てたのぉ~?」
真白の隣にいた子が、真白をからかい始める。
「つっ、蕾ちゃん! それはね!!」
「あっ、私は~
わたわたし始めた真白を放置して、マイペースに自己紹介を始める長谷川さん。
「それじゃあ! 懇親会に行こうか!!」
「懇親会?」
「え~聞いて無いよぉ~」
「柊さん……まさか言って無いの?」
「「え?何を?(ですか?)」」
二人で同時に反応する柊姉妹。
「あーえっと……檸檬さん?」
「檸檬でいいよ~」
「私も真白で良いですよ、柊だと私達同じ苗字ですし」
「そりゃ貴女達……姉妹なんだから名字は同じでしょ……」
「そりゃそうだ~」
「えっとじゃあ話を戻すと……檸檬、真白達に伝えて無かったのか?」
慌ててスマホを見る檸檬、そうしてやらかしたという顔から、てへぺろ顔になった、可愛いな。
「あっれぇ……忘れてた☆」
「まぁ良いか、もう合流したし……俺から説明するか?」
「はい……出来ればお願いします」
「よろしくぅ!」
「その前にほら、移動しましょう、時間を無駄にしちゃうわ」
弓場さんが手を叩いて外へ出ようと声を掛ける。
「そうだな、駅に行きながら話すか……」
「おー、翔は便利だなぁ~よし! 後は頼んだ!!」
「それじゃあ、出発しよう。道中で説明もするわ」
「「「「「「はーい!」」」」」」
通学路を下りながら真白と長谷川さんの質問に答える。
「それで翔君、その懇親会って、何するの?」
「そもそも~どうゆう経緯で~そうなったのぉ~?」
「そんな深くは無いんだけど。オリエンテーションのグループが一緒だから、遊びに行こうかとなっただけだよ」
「そうだったんだ」
「へぇ~そ~なんだ~」
「それでどこに行くの?」
「最近話題になった【びゅーん!!】ってとこ」
「あっ! そこ行ってみたかったとこ!」
「そうなの?」
「うん!」
「ましろって~運動神経そこそこ悪い方なのに~運動好きだよねぇ~」
「えーいいじゃん! 運動自体が好きなんだよ~」
するとリスの様にほっぺたを膨らませる。
「えっと……長谷川さんは……運動苦手そうだね……」
「蕾でいいよ~しょーとは、長い付き合いになりそうだし~」
「そうか、ならよろしくな蕾」
そう言って手を差し出すと、ぶかぶかの制服から手が『にゅっ』と出てきて握手をする、小学生みたいな手の小ささだな。
そんな話をしていると学校近くの駅【
「ついたー! それで翔の地元駅ってどこ!?」
「えっと……4つ隣だよ」
「りょうかーい! それじゃーいっくぞー!」
その掛け声と共に滑り込んで来た電車に乗り込む、時間もだがそれなりに込んでいるので3人づつで邪魔にならない様に別れる。
「はわわっ……ごめんなさいっ!」
「大丈夫か? ましろ」
「だいじょ~ぶ?ましろちゃ~ん」
いきなりの揺れで倒れ込んで来た真白を受け止めつつ答える。
「ごめんなさい、吊革に掴まれなくて」
「それは手すりにでも、つかまってくれれば良いんだけど……」
バランスを崩した真白と違い、何故かふらふらしながら足元が微動だにしない蕾を驚きつつ見る俺。
「どうしたの?蕾ちゃんをそんなに見て?」
「いや、蕾の足元が一切ぶれないのが不思議で、上半身あんなにふらふらなのに……」
「すごいよねー」
「ふふふ~私の靴に秘密があるのだよ~」
そういって足を持ち上げる蕾、パンツ見えるぞ。
「つっ蕾ちゃん! スカート!! スカートだから!!」
『バチン』と小気味いい音を立てて蕾の足を叩き落す真白、慌てるのは良いが他の乗客が不思議そうに眺めているぞ。
「いたた~ましろ~いたいよぉ~」
赤くなった太ももをさすりながら抗議する蕾
「ご、ごめん蕾ちゃん……」
「うん、今のは蕾が悪い」
「えぇ~理不尽だよぉ~」
「流石にスカートの中見えるからな?」
「えぇ~見たいのぉ~?」
そう言いながらたくし上げる蕾、やめい。
「健全な男子高校生として、見たくないと言えば嘘になるが……」
「ちょっと! 翔君!?」
顔を真っ赤にした真白に怒られる、肌が白いからすごく赤が目立つ。
「だからといって好き好んで見たい訳じゃ無いからな……とゆう訳で止めてくれ」
「は~い、これ以上だと~ましろちゃんが~りんごちゃんになっちゃうしぃ~」
「もう! 蕾ちゃんったら!!」
騒ぎ過ぎたのか少し大きな声になってしまったので周囲の注目を浴びてしまっている。
「まぁまぁ、そのくらいにしよう、注目浴びちゃってるし」
そう言うと周りを見る真白、本当に林檎の様に顔が真っ赤になってしまった。
「ほら、蕾も謝らないと……」
「たはは~ごめんねぇ~」
そんなやり取りをしていると駅に着いた様だ。
「おっと……じゃあ降りようか」
「「は~い」」
それから改札を出て再度集まる。
「それで、佐伯君。どのバスに乗ればいいのかな?」
「あぁ、佐伯で良いし何なら翔でもいいよ、それに敬語はやめてくれると嬉しいかな、同じクラスメイトだし……」
「あぁ、わかった。俺も
「弓場さんも敬語じゃなくていいよ」
「そう?なら良かった、私も少し苦手なのよね」
「それでバスだったよね、それなら3番乗り場から休日限定で、シャトルバスが出てるんだけど……今日は平日だから出て無いんだよね」
「そっかー、じゃあちょっと時刻表見て来る!」
「あっ、檸檬! スマホでチェックできるのに……」
言うが早いか檸檬は風の様に見に行ってしまった。
「仕方ないわよ、それが檸檬だから……」
「れもんちゃんだもんねぇ~」
「檸檬ちゃんですし……」
「檸檬だからねぇ……」
「まぁ、せっかく見に行ってくれたし、待ってようか」
◇◆◇◆◇◆◇◆
そうして檸檬が、手帳にびっしりとバスの時刻を事細かに書いて戻って来た。それを見るとバスの時間まで、1時間程あるとの事なので、先に皆でお昼ご飯となった。
「それじゃあ、どこいく?エムド?スーゼリア?」
(因みにエムドの名称は【マスクドランクバーガー】で肉厚で大きなハンバーガー魅力のチェーン店で【スーゼリア】はイタリアのワインや食事が楽しめるファミリーレストランだ)
「どうしようかな?」
「私はどっちでも~」
「私は……パスタが食べたいかな?」
「私もパスタ! 運動前は消化の良いものに限る!!」
「じゃあスーゼリアにするか」
お店の方向を指差して、言って歩き出す。
◇◆◇◆◇◆◇◆
そうして信号に差し掛かった頃それは起きた。
多分気付いたのは俺だけだろう、嫌な予感がして前を見た瞬間。
青信号に変わった直後。飛び出してくる、黒髪少女と黒猫、そしてそれを跳ね飛ばそうとする自動車の姿が目に入ったのは。
考えるより体が動いていた。
飛び出してきた女の子と猫を引っ張って飛ぶ、間一髪大惨事にはならずに済んだ。
間に合った……よかった……。
「何やってる!!」
車から運転手が怒鳴りつける。
「すみません!」
「全く……近頃のガキは……」
あれ?咄嗟に謝っちゃったけど……今、歩行者側が青信号だったよな?
しかも、逆走で駅周辺かつ徐行の個所を猛スピードで走っていったよな?
ムカついたがもう相手は居ないので仕方ない……。
それよりも腕の中に居る一人と一匹へ視線を向けた。
---------------------------------
作者です!
1話3000字構成……読み辛いですかね?
タイトルもちょっと弄りました!
檸檬ちゃんと蕾ちゃんのキャラクターイメージを近況ノートに掲示しました!
檸檬ちゃん
https://kakuyomu.jp/users/fearice/news/16817330668675010867
https://kakuyomu.jp/users/fearice/news/16817330668675012569
蕾ちゃん
https://kakuyomu.jp/users/fearice/news/16817330668674675958
https://kakuyomu.jp/users/fearice/news/16817330668674764648
読んでいただきありがとうございます!!
100PV超えました!!投稿2日で超えるとかマジですか!!
早速☆や♡、ブックマークをくれた読者様ありがとうございます!!
☆や♡もらえるとランキングにも顔出し出来るので嬉しいです!!
皆様のおかげでランキングにも乗れました!!
ランキングが上がると作者ががんばります!
週刊:389位
カクヨムコン
ジャンル別:210位
総合:995位
ここから上がって欲しい!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます