第6話:メイドさんと久凪さん

 それから近くの公園に場所を移した俺達、雨音達もテイクアウトを買って来たので食事にすることにした。


久凪くなぎさん、勝手に決めちゃったけど、パスタで良かった?」


「えぇ……ですがこれは、どうやって食べるのでしょうか?」


 目の前には蓋付きの、どんぶり型容器が鎮座している。


 薄々感じてけど……久凪さんってお嬢様なのかな?


「思ったんだけど、久凪って珍しい名字だね、どこ出身?」


 聞きながら蓋を取ってあげる。


「ありがとうございます。えっと……群馬の方ですね」


「へぇ……中学校はどんなところだったの?」「なーご」


 パスタを頬張りながら檸檬が喋る、ちゃんと飲み込んでから喋りなさい。


青蓮女学園せいれんじょがくえんです」


「「「「?」」」」


「んん!?」


 皆は気付いて無いけど、超お嬢様校じゃねーか!


 前世で付き合った女性が滅茶苦茶お嬢様でそこの出身だったんだよなぁ……結局、長く続かずに別れちゃったけど。


「翔知ってるのか?」


「うん、そこそことゆうか高い偏差値共々、有名なお嬢様学校だよ」


「へぇ……ってなんで佐伯君は知ってるの?」


 弓場さんよ、そんなジト目で見ないでくれ


「高校選びの時に、偏差値の高い学校を探してたら見ただけ、女学園の中で一番高かったから調べたんだよね」


「へぇ~って翔は男じゃん!」


 そう言ってバシバシ叩いてくる檸檬。それはそうなんだが、気になったんだからしょうがないだろ。


「いや、妹も今年受験だから、それもあって気になったんだ。でもそうか、久凪さんはお嬢様だったのか……」


「私、本物のお嬢様って、初めてみました」


「そ~だねぇ~びっくりだよぉ~」


「それで、どうしてこの学校に?」


「それは……許嫁との結婚の為にです」


 ニッコリと言う久凪さんに皆が停止する。


「「「「「「えええええええええええ!?」」」」」」「にゃにゃにゃ!?」


「許嫁ってあのテレビとかで見る!?」


「テレビですか? 余り私は見ませんが……その許嫁かと」


「はえ~初めて見た」


 もう食べ終わったのか檸檬……そして無言で2個目に入るな。


「でもその許嫁って、同じ学校の人なのかな?」


「そうだよね、引っ越してくるぐらいだし!」


 弓場さんがそう言うと少し残念そうに口を開く。


「それが、お相手の男性はまだ教えないとお父様に言われまして……」「なーご」


「そうか……なら仕方ないなって久凪さんも食べよう。このままじゃ檸檬に全部食べられる」


「ふぁによー(もぐもぐ)それじゃあ私が(もぐもぐ)大食いみたいに言って~」


 檸檬がパスタを頬張りながら抗議して来る、後食べるか喋るかにしてくれ。


「そらそうだろ、俺なんてまだ蓋も開けてないのに、何個目だよ……」


「えへへー三つ目」


「食べすぎだろ……」「にゃおん」


「そうだよ、檸檬ちゃん。またお腹痛くなるよ」


「いや、真白そういう事じゃ……まぁいいか……」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


 そうして食事を終えた俺達、すると久凪さんのスマホも電源が入る程度には回復していた。


「—————♪♫♩♬」


 猛烈な勢いで着信がかかってるんだけど……


「とりあえず、久凪さん出てみたら?」


 凄い勢いなのでとりあえず出る事を進める。


『はっはい! もしもし久凪です……』


 電話先から女性の声が聞こえる。


『はい、はい。えっとここは……』


「藤霞駅の近くの藤公園だよ」


『藤霞駅の近くの藤公園という事です』


「わかりました…………佐伯さん、ありがとうございます、鳴海さんが迎えに来てくれるそうです」


「鳴海さんってさっきの?」


「はい、我が家のセキュリティ担当のメイドです」


「へぇ、そんなメイドさん居るんだ……」


「はい、私の護衛やお世話等をして下さってる、私付きのメイドですね」


「そうなんだ……」


 それって、この状況怒られたりしないよね?


「にゃおん」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 それから15分後、俺はメイドのお姉さんに組み伏せられていた。


「貴様かあああああああAAAAAAAAA!!!!!!!!」


「痛い痛い! 訳がわからないよ(某畜生風)!」


「貴様がお嬢様を攫ったのかあAAAAAhhhhhhhh!!!!」


 鼓膜がきーんとした……


「こら! 鳴海! だめです! ステイ!!」


「お嬢様!? こんな男に何を!?」


「佐伯さんは私の恩人ですよ!」


「えぇ!? こんな男が!?」


「まぁ〜そ〜だねぇ〜」


「翔さんが居なかったら今頃大惨事でしたからね……」「にゃおん」


「あれは見事だったよなぁ……」「にゃにゃ」


「あれは危険だったよねー」「うにゃーん」


「でも、カッコ良かったです」「ゴロゴロ」


 一同が俺の擁護をしてくれる……良い奴等だな……特に太郎丸。


「うっ……すまない……」


「いつっ……」


 鳴海さんが離れてくれたので埃を払う、痛かったぁ……


「大丈夫ですか、佐伯さん」


「はい、大丈夫……あっ……」


 今のが原因か、先程の身を投げたのが原因かわからないが、砂を払っていたら制服の縫製ほうせいが一部解けているのに気が付いた。


「すみません!制服は弁償します!」


「あー大丈夫でしょ、この位なら普通に使ってればある事だと思うし、縫えばどうにかなるよ」


「でも!!」


「気にしない気にしない」


「そうですおじょ「鳴海……」」


「ひぃ!」


 久凪さんの背後に鬼が見えるんですが……


「私は、貴方の失態の責任を取ると言ってるんです。意味がわからないとはとは言わせませんよ?」


 先程まで漂っていた、ぽわぽわしたお嬢様感が消え今は凛とした風格が出ている。


 とゆうか纏う雰囲気が別人なんだけど……


「佐伯さんは私の恩人です。それに鳴海の事は私の落ち度。ですので佐伯さんを一度我が家にご招待します」


「お嬢様!?」


「鳴海、早く車の手配を、これ以上は問答は不要です」


「はい……(キッ」


 なんで俺が睨まれるのさ……。


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