ワズン

ぴんくのーと

第1話 能力と呪い

「空くん!今からいつものメンツでご飯食べに行くんだけど良かったら行かない?」


「ごめん!俺別の予定入ってて行けない!」


「おっけー!了解!」


(最近空くん遊んでくれなくなったねー)


(それね!もしかして彼女でも出来たのかな?)


(えー私空くん狙ってたんだけどなー)


女子達の話す声は空の耳に届いていた。

それでも何も言わずに、表情も変えずに教室を去っていった。


昔からたくさんの人に囲まれていた都辺とべ そらはこの状況が嫌なり1人になりたいと願うようになった。



家に着くと誰もいないはずなのに鍵が空いていた。

閉め忘れかと言い聞かせながら中に入る。


「ただいま」


そう言いながら当たりを見渡すが特にいつもと違う所はない。

最悪のパターンである空き巣ではなさそうだ。


リビングに入った。

やはり誰もいない。

安心していた空だったが微かに聞こえた2階からした足音にゾッとした。


玄関にあった靴べらを持ち、恐る恐る階段を上がる。

ゆっくりゆっくりと音を立てずに足を進める。


自分の部屋の前に到着した。

怖いという気持ちを無くすようにバンッと勢いよくドアを開けた。


俺のベッドに女子がいる

黒髪ロングで白いワンピース姿の可愛い女子


「おかえりなさい。」


「あ、ただいま」


一瞬親戚かと思ったがこんな子は見たことがない。


「何で俺の家に入ってきた?泥棒か?」


靴べらを相手の方へと向ける。


「泥棒ではない。私は空の悩みを解決しに来た。」


何だこの子は…

よく分からないな

確かに取られたものは無さそうだけど


「空の悩みは周りに人が集まってくることでしょ。」


「なんで知ってる?」


「私がその能力を与えたから。要らないものを渡したって感じだ。」


「え…」


「私には不老不死の呪いがかけられていて、それとは別に人を引き付けてしまう能力がある。」


「おとぎ話の世界だな」


俺はその話を冗談と感じながら聞いていた。

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