絢子オンニ、再び 2

「貴女はそう言うけれど、確実に貴女の影響よ」


「はい?」


 一体何故。その根拠は。


「あの子を説得したのは貴女でしょ」


「そうですけど……」


 イマイチ納得いかない。


 別に、私は普通に自分の想いを伝えただけだから。


「まぁいいわ。無自覚って厄介ね」


「ディスってます?」


「えぇ」


 否定してほしかったです、そこは。


「因みに、貴女の好みのタイプは?」


「急な話題転換ですね」


 滅茶苦茶急ハンドルで無関係の話をしだすじゃん。


「綺麗な美人系です」


 まぁ正直に答えます。絢子さんは、私が女の子と付き合って別れてを繰り返してるって知っているので。


「成程。じゃあ、結の顔は?」


「あー……好みのタイプですけど、ただの友だちですからね。ロックオンしたことないですねえ」


「可愛そうに」


「ん? なんて言いました?」


 今ボソッとなんか言いましたよね。


「なにも言ってないわ」


 噓つけーい。


「因みに」


「今度はなんですか」


 今日の絢子さん、やたらと質問してくるな。


「忠告しておくけど、結ってメンヘラ気質あるから」


「えー」


 そうかなあ。そんなことないと思うけど。


「嘘でしょ、あんなに傍にいて気づいてないの……あの子からメッセージが送られてくる頻度は?」


「仕事の日はそんなにですけど、休憩時間とか休みの日は20分に1回です」


「前より頻度上がってるじゃない」


「あー」


 そういえばそうだわ。1時間に1回だったのにね、どんどん短くなってますね。


 どうしたんだろう。暇なのかな。


「兎に角、私が言いたいのは、あんまりもてあそんでると手酷くしっぺ返しされるわよ」


「はーい、絢子オンニ」


「ふざけてるでしょ貴女」


 いやいやいやいや、ふざけてない。断じて。


「刺された前科ありですから。ふざけてません」


「それならいいわ」


 ピロン、ピロン、ピロン、ピロン――。


「滅茶苦茶通知音聞こえるんだけど」


「えっと、結からですね」


 こうして話している間にも、凄まじい勢いで溜まっていく通知。


 仕方ない。文字打つの面倒くさいから、後で電話してあげますかー。


「貴女……夜道は気をつけるのよ」


「それどういう意味ですか?」


「そのままよ」


 ふむ、まぁ年上の言うことは聞いた方がいいよね。


 よくわかんないけど、夜道は気をつけることにします。

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