第427話 国王陛下と一対一でお話するチャンスなんだけれども
僕は誘導されるがまま転移テントをくぐり、
気が付けば王都グランセント、そのお城へ連れて来られた、
行くのは国王謁見の間かと思いきや重要な会議をするような広い部屋だ。
(で、陛下と僕は向かい合っているんだけど、めっちゃ間が長い)
図にするとこんな感じ、椅子は省略。
衛 冠 衛
兵 王 兵
■■■■■■■■■←テーブル
■ ■
■ ■
■ 花 ■
■ ■
■ ■
■ ■
■■■■■■■■■
メ 僕 メ←一応ウチのメイド
兵は白い仮面みたいなのをつけているが暗部って感じはしない、
一応ウチのメイドは王都別邸の副メイド、護身術に長けているという、
テレサさんとリタさんも居るが、今更だがあまり身内感は無い。
(むしろ雰囲気が国王側なんだよなあ、僕側に立っているとはいえ)
向こうは衛兵が、こっちはテレサさんがお水を置いてくれた。
(お茶じゃなく水って事は、真面目な会談か)
そう、こんな僕でも知っている、
軍事作戦会議とかだと出されるのはお水だ。
「さて、ミスト=ポークレット公爵、話す事を許そう」
「はっ、国王陛下」
「とはいえ今ここにはワシと公爵のふたりきりだ、事実上な」
つまり衛兵もウチのメイドも無視しろと、
多分、ここで聞いた事は他言無用むしろ聞くなって感じかな。
「わかりました、いえ、かしこまりました」
「良い良い、不敬は無い、例え名前を間違えたとしてもな」
ぎくり。
「それで陛下、えっと、どういうお話を」
「ふむ、まず本題に入ろう」
あるんだ本題!!
「お、お願いします」
「まずはフォレチトンの勢力図を紹介してくれ」
「ふぁっ?! は、はいっ」
ええっと、敵対勢力とかあったっけ、
いや勢力っていう事は敵対は無くて良いんだよな、
ということはだ、うーん、こっちのメイド見てもおすまし顔かぁ。
(なんだかこんな顔に見えてきた)
へ へ
メ メ
イ
ド
いやいやベルベットちゃんに悪影響受け過ぎだぁ。
「ええっとまず最東部への玄関口はハイドロン公爵家になるんでしたっけ、あっ」
「言葉遣いは気にするなと言っておろう」
「はい、で、入ってすぐ、地理的にほぼ北からが幹線道路になるんでしたっけ、
南の近道、抜け道がフォレチトンから王都への最短ルートですが、ええっと、
その北がチュニビでソルナンシュ辺境伯の領地、この二大貴族で最東部を復興中、と」
これで合っているはず。
「それは随分前の話になるぞ」
「えっそうなんですか?!」
「それはあくまで以前の、ミスト=ポークレットを育てる下地であろう」
あっ、こっから僕が強くなっていくんだった。
「じゃあ最新情報ですよね、ええっと、我が父上は男爵のままでしたっけ」
「うむ」
「それでフォレチトン玄関口のセスが男爵のうえ子爵内定、伯爵内々定、
南部はバトルキャンプが街になったら準男爵でいいから置きたいな~」
あっ、願望言っちゃった、
陛下に新たな爵位をねだるなんて結構な不敬だぞこれ。
「もっと南部があるじゃろ」
「あっはい、砂漠の国一帯がアルドライドとしては、
アムムルさんの辺境伯領って事になったんですよね」
アプス神殿の教祖代理さんにも何かあげたい、
でも単なる一介の眼鏡考古学者だった彼女が領主まで欲しがるかどうか。
(って今、誰に新しく爵位をあげたいかって話じゃないや)
「あそこの面倒をアビタラーナ公爵家と頼むぞ」
「そういえばボリネー先輩もあそこに触手を伸ばしているんでしたっけ」
「ナスタン、メラン、サザンヌまで伸ばしておるから必然であるな」
でもあのお肉様の本拠地って南西部なんじゃ。
「ええっと、アビタラーナ公爵家としてはフォレチトンはボリネー先輩がずっと居てくれるんでしょうか」
「ワシに聞く事か?!」
「す、すみません、これは先輩に聞きます」
そりゃそうだ。
「だがフォレチトンの勢力図で言えばサンネイズ商団のテリトリーという説明はしておけ」
「はいっ、僕が陛下にですよね」
「転移テントがある以上、位置関係はあまり気にするな、実情を考えよ」
国王陛下に説教された、
いやこれは単にモノを教えてくれただけか。
「という事でフォレチトンまでの全体をハイドロン公爵家が、
ここから北を広範囲がソルナンシュ辺境伯が、隣接した北を我が父が、男爵家ですけど、
そしてそこから入った最初の土地を幼馴染のセスが現在は男爵家として、未来の伯爵家として」
あ、陛下が頷いてくれている、いいぞいいぞ!
「さらに南は植民地である砂漠の国、
そのリーダーであるアムムルさんを辺境伯扱いにして復興させ、
本当の辺境伯クラスまで復興できれば南は安心、と」
人口だけならもう立派な辺境伯領だ。
「そしてフォレチトン内の商業施設はボリネー先輩の所の新公爵家が、
ほぼ全て取り仕切って護ってくれる、っていう認識で良いのですよね」
「……あと大事なのを忘れておるじゃろ」
ええっとなんだ、なんだなんだ、あ、そっか!!
「すみません、あとアメリア先生とベルベットちゃんの勇者爵ですよね、
ジンくんの騎士爵と合せて、新たな名誉爵位、ありがとうございます」
「うむ、そして最後に一番大切な所が残っておるであろう」
「あとひとつ、な、なんだっけ、ええっと、えとえと、んー……」
あー国王陛下のお髭がピクピクしている!!
「一年で準男爵から公爵になった異例の貴族がおるじゃろ」
「あー……あっ、そうだ、僕だ!!」
「それを忘れてどうする」
忘れるというより意識になかった
だめ貴族だもの。 ミスト
「さらに僕には辺境伯を与える権利が」
「誰にどこへ与えるか、十年以内に決めるのだぞ」
「はいいい……」
責任重大だあ。
「今の勢力図、忘れるでないぞ」
「はいっ!!」
「ワシからは以上だ」
……そして流れる謎の、無の空間。
「えっと、それで」
「お主からは何も無いのか?」「えっ」
「非公式とはいえ一対一で国王に言えるのだぞ、何でもな」
こ、これってビッグチャンス?!
「公爵祝いだ、何か話す事はあるか?」
「そっ、そうですね、それじゃあ……」
アレとアレを、聞いてみるかあ!!
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