第426話 だめ公爵爆誕
「さあ皆様、ミスト=ポークレット新公爵をどうぞ、拍手でお称え下さい!!」
凄いな大歓声、
これ全員、ひとりひとりに金貨でも渡してないか?
場内を見回すとわかりやすい所に父上が居た、隣に身重な母上も!
(来るの直前って言ってたけど、そうか、もう結婚式直前なのか)
まわりにひょっとしたらと見回したが、
懐かしのメイドお婆ちゃんズまでは見当たらない、
まあいいか、結婚式にはマンタ爺ちゃんと観に来るらしいし。
「ミストくん、ぼーっとしてないで」
「あっはい」
さっきのを見る限り、僕は最後の挨拶以外何もしなくて良いみたいだ、
うん、こういう時くらいは胸を張って……僕の両隣に一歩引いてソフィーさんとベルルちゃん、
さらに後ろ、僕の真後ろにリア先生とエスリンちゃんが並んでうん、完璧だ。
(そして国王陛下の前へ、っと……)
一斉に跪く、いや僕にみんなが合せてくれている、
威厳ある国王陛下が僕に近づくと場内は静かになる。
「ミスト=ポークレットよ、貴殿に問う、仕えるのは誰だ、正しい名前で言え」
(ええええええええええ?!?!?!)
これはやっぱり不敬で処刑パティーンかあああああ?!?!?!
「はい、我が主(あるじ)たる、アルドルラド・ゴッフルデルド・ミュシュマレフト・ラファンデイデファンフォン・リヒャデバウト・
グランガロス・エレククス・シムオカーケン・ムレルハドン・ホンジャマカ・ビュルナート・アフウ・
ドラゴファンゾ・テッテレー・ロベルィデ・フラウポウ・イフグベン・クエスベスト・バーローンド・
エポロスエロポス・テレジルベルク・オモンバカル・スッ・ヴァレンリウス・レイボキキスギサモイ・
フロリプラント・ランスキチクォー・ルドォゴドォ・シギステウデウ・アルカディウノン十一世様、永遠の忠誠をここに誓います」
(む、むっ、胸のペンダントが、僕の声でシャベッタアアアアア!!!!!)
「うむ、今後は公爵として共にアルドライドを繁栄させるのだ、良いな」
「ははーーーっっ」
「では書状を読み上げる」
これを聞きあとは例のごつくてでかい剣で長時間のコチョコチョだ、
それにしても、僕の胸に、ペンダントにそんなのが仕込まれていたなんて!
喋ったの誰だよ、僕の声真似は完璧だったな、まさかこういう手があったとは。
(うん、これでよくわかる、これでダメ公爵が爆誕だ)
「ミスト=ポークレットよ、アルドライド東南部の目覚ましい復興と開拓、
貿易拠点の整備に数々のダンジョン攻略、他国との交渉成立を踏まえ、
アルドライド国王の下、公爵を授ける事とする、今後も五年、十年、二十年、三十年、五十年と精進せよ!!」
「ありがとうございますっっ!!」
続いて国王陛下に剣で弄ばれながら(多分違う)考える、
これだけ間近だと胸が喋ったように聞こえるはずだけど大丈夫かな?
聞こえてくる方向的には大丈夫か、でも僕、とっさに口とか動かしてなかったしなぁ。
(話をすでに通しておいてくれたのかもしれない)
何はともあれ陛下の名前を完璧に言うミッションはこれで終わり、だよね?
そう思っているうちに儀式が終わった、それにしても五十年後ねぇ……
僕の五十年後ってどうなっているのか想像がつかないや、あ、でっかい紋章が来た!!
(うっわこれ、僕の身体だと完全に胸あてだよ)
付けてもらって一礼するとソフィーさんベルルちゃんがさっさと外してくれた、
うん、形だけだからね、そして音響装置がやってきた、皆に挨拶だ。
「それではミスト=ポークレット新公爵より皆様にご挨拶があります!」
もうここは、いつものお決まりの言葉を繰り返そう。
「ミスト=ポークレット公爵です、僕が誇れる事、それは、
貴族としての誇り、そして男としてのプライドです、それだけが僕の宝です、
その宝を壊さないよう、落とさないよう、アルドライドのため、皆のために頑張ります!!」
少しの静けさののちソフィーさんベルルちゃんが拍手、
それに続いてエスリンちゃん、国王陛下までもが凄い!
かなり遅れてリア先生も場内の観衆と同じくらいのタイミングで……!!
「ありがとうございました、新時代の新公爵、誕生の瞬間でした!」
みんなで改めて国王陛下に礼をすると去って行った、
それを確認してから僕らも退場する、うん、客席は盛り上がっているな、
僕は思う、本当に、ほんっとうに、僕が、僕なんかが、僕ごときが公爵で良いのか、と。
(まあポークレット家は集合体だ、ソフィーさんベルルちゃんリア先生の三人で十分、公爵クラスだ)
などと勝手に胸を撫で下ろし、
ゲートをくぐってコロシアムの室内部分に入った所で待ち構えていたのは……!!
「ミスト=ポークレット新公爵」
「はっ、はい、ヒューゴー=フェルナンディー宰相代理様!」
「陛下がお呼びだ、国王陛下が今すぐ、二人きりで話したいそうだ」
ひええええええ?!?!?!
「僕が、ひとりで、国王陛下と、ですか」
「そうだ、その胸のペンダントは外してな」
「はっ、はいいいいぃぃぃ」
ほっとしたのもつかの間、人生最大のピンチか?!
だめ新公爵だもの。 ミスト
「ミストくん、頑張って」
「ミスト様なら大丈夫ですわ」
「うん、ええっとえっと、国王陛下の名前はぁ、アルドラド、ドラドラピッ、ゴッドネエチャン……」
宰相代理さんが、呆れてるうううう!!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。