第416話 フォレチトン入口の街セスタウン
「意外と厳重なんだね」
「国内外の偉い人が集まるから、ミストの結婚式が終わるまでは、ね」
孤児院での朝食後、僕はなぜか転移テントでここ、
フォレチトンへ北側から入った街『セスタウン』に来ている、
ここでは今、フォレチトン領へ入る人を国境警備並に警戒しているようだ。
(これには理由がありましてね)
とまあ入ってくる人の流れを見ながら回想すると、
朝、孤児院の子たちに派手に身体へダイビングされ起きた時には、
もうリア先生はいなかった、ていうかソフィーさんベルルちゃんも朝食作る最中だった。
(聞いたらリア先生は今日明日、騎士団長最後の仕事で忙しいらしい)
下手すると結婚式当日までまともに会えないかも、とかソフィーさんが言っていたな、
だからこそ昨夜の懇願だったのかもしれない、あっ、あの後あの部屋で愛し合ったとかは無いです、
空き室だったから使えたかもだけど声が漏れるからね、やれてキス程度までっていう事で大部屋に戻りました。
(そんな訳で孤児たちとの朝食の時間、リア先生も居ない事だし、と相談したんだよな)
孤児たちには難しい話でわからないだろうと、
朝食を頂きながらソファーさんベルルちゃんに、
リア先生涙の懇願について相談すると、返ってきたお言葉が……
「ミストくん、それはリアさんにミストくんが相談された事ですよね、
でしたらミストくんが解決するべき話です、でなければ私に相談に来ているはずです」
「ですわ、きっとおそらく、ミスト様に解決していただきたいからこそ、なのですわ」
と突き放された、まあ僕に任せろとか言っちゃったし。
なので僕が考えつつソフィーさんベルルちゃんに助言を聞こうとアイディアを。
「リア先生が参加しないで済む方法を考えたんだ、ほら、妊娠の発表とか」
「それでも、姿くらいは見せないといけないでしょうね」
「ですわ、それにリアさんの性格ですと、妊娠していても除隊式だけは絶対出ると言いますわ」
うーん、そもそも嘘を受け入れるかっていう話もあるものな。
「じゃあ逆に僕がリア先生のそばに居なければ良い話なんじゃ」
「ミストくん、そういう話ではありません」
「ですわ、リアさんは前騎士団長とお会いする事自体が恐怖なのですわ、
もっと言えば、その後に時間を置いてでもミスト様と顔を合わせるのが」
つまり、前騎士団長と顔を合わせたという事実が発生しただけで、もう駄目なのか。
「じゃあ僕はいったい、どうすれば」
「それを考えるのがミストくんです」
「それをお考えになられるのが、ミスト様ですわ」「あっはい」
……と言われた結果、
どうしようか考えて外をうろついていたら、
新婚夫婦のセス達が一旦帰るというのでそれについてきてしまった。
「そういえばセス、奥さんは」
「さっき来た伯爵家の対応さ、彼女一人に任せておけばいいって」
「なんでまた」「侯爵家や公爵家が今、来たらどうするんだ」「あ、確かに」
忘れがちだけど転移テントが使える人は本当はかなり限られている、
だから意外と国内のフォレチトン玄関口、ここセスタウンを馬車で通る貴族は多い。
「そういえば昨夜、ここだと日付けが変わる前だと思うけど、
シャマルク魔法国だっけ、そこのダンシング引き笑い旅団だかなんだかいう連中」
「うん報告は受けている、隣の大陸から来て、聖教会から受け入れの連絡が来てたから通したって」
「今、僕の城に居るらしいよ、ソフィーさんが丁重にとか言ってたから問題は無いかな」
とまあ入領警備を見ていると色んなカップルも。
我がフォレチトンの私兵、セスタウンの衛兵が対処している。
「亜人地域からの方々ですか」
「ああ頼む、移住しに来た」
「差別の無い場所だと聞いて来ましたわ」
ローブやフードで隠してはいるものの、
おそらくエルフとダークエルフのカップルなのだろう。
「念のため、荷物を確認させていただきます」
「構わないよ、元々、この身ひとつで、いやふたつで行くつもりだったから」
「何か欲しい物があれば取り上げて構いません、ですから我々に、安住の地を」
危険物とか無いかチェックしているのだろうが、
そもそも荷物自体が少ない、衣服にアクセサリーはあるものの、
魔法衛兵が手をかざすも反応は微弱、特に変な物は無いようだ。
「……はい構いません、それでどちらまで」
「ミストシティの南に広大な森があると聞きました」
「働いてお金を貯めて、そこで小さな木の家でも作って暮らそうかと」
あー魔物の心配が無いそういう森があるって聞いたな、
将来的には世界中のエルフやダークエルフ系亜人の孤児や難民、奴隷を集めて、
そこで新たな集落を作るとかなんとか、誰が言ってたんだっけ、メイドエルフかな。
「今でしたら無料馬車が出ます、時間さえかけられるなら、あそこへお並び下さい」
あーあ仲良さそうに……
続いてやってきたのはもっと仲良さそうなカップル、
うん、背の高いお姉様と背の低いかわいい女性がいちゃつきながら来た。
「差別の無い領地と聞いてきました」
「ここでふたり、結婚して幸せに暮らそうと」
「はい、ではお荷物だけ確認させて下さい」「いやん」
おっきい方がそんな声出すんだ、
それはまあ置いといて、こういう二人も受け入れられるのがフォレチトンだ、
さらにその後ろは男性カップルだな、うん、片方は男の娘っぽい。
「……はい、お通り下さい、それでどちらへ」
「ミストシティです」
「私たちの仲を取り持った、リア先輩の所へまずご挨拶へ」
(あっ、被害者だ)
通りがてらの会話も聞こえた。
「取り持ってなんて言って良かったのかな」
「女同士の喜びを教えてくれたのはリア先輩です!」
「会えるかなぁ」「会えるといいですねぇ」
今度は男性同士のカップルが荷物をチェックされているが、
その後ろはようやくまともな男女カップルだ、ちょっと安心。
「ユーマ、そわそわしないの」
「でもタッソ姉ちゃん、こっちでも怒られないかなあ」
「シーッ! こっちじゃイトコで通すんだから」「イトコでも姉ちゃんって呼ぶよ?」
……うん、聞かなかった事にしてあげよう、
でも実の姉弟を受け入れるっていうのもアリなんだろうか?
本当に何でも受け入れるっていうなら人間と魔物のカップルでも通しちゃうかも。
「領主様」
「「あっはい」」
その声に僕とセスが同時に返事した!
「あっそうか、セスタウンの領主はセスか」
「いや、フォレチトンの領主はミストだからミストに用じゃないかな、俺の方こそごめん」
そう考えるとフォレチトンだってアルドライド国王の領地だ、
独立でもしない限り……いや、しないよっ?!
(声をかけてきたのはモリィさんだ、転移テントでわざわざ来てくれたのだろう)
「そろそろ式の当日打ち合わせに、来ていただきたいそうです」
「えっ、もう?!」
「はい、何でも午前のうちに『オマケ』の方の式典を済ませたいと」
オマケって、何だろう??
「じゃ、じゃあ行ってくるよ、セス」
「ああミスト、後でな」
「あっ、就任式を見に来てくれるんだ」「俺も就任式だよ!」「あっ」
幼馴染の大事な就任式を忘れていた
だめ貴族だもの。 ミスト
「ごっめーーーん」
「この場にセレサが居なくて助かったな」
「私が何か?!」
(でたああああああああ!!!)
その場は何とか取り繕いましたとさ。
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