第393話 第三夫人リア先生と誕生日の夜を過ごす

「本当に良かったのか、遊べるのもあと数日だぞ」

「はい、やっぱり誕生日って、特別ですから」


 誕生日パーティーが遅くまであった夜、

 ソフィーさんベルルちゃんはまた忙しいというので、

 今夜は二択を迫られた、どういう事かというと……


(プレゼントされた獣人四名クノイチ二名と過ごすか、リア先生と過ごすか!)


 結婚式を迎えたら正妻側室愛人あと一枠空いてる準愛人以外とは遊べない、

 それは何度も念を押されているのでもし破れば間違いなく酷い目にあうだろう、

 例の『領主お仕置ベッド』で全裸のまま朝まで逆さ吊り、の五倍は酷い事をされそうだ。


(全身に蜂蜜塗られて虫に集られちゃうとか!)


 だから、せっかく貰ったメイド兼護衛兼遊び相手の『遊び』の部分を、

 貰ったその日の番に試すチャンスではあったのだが、ここはあえてリア先生を選んだ。


(なぜだって?! ヒントを貰うためさ!!)


「意外だな、少し見直したぞ」

「ありがとうございます、誕生日の夜って本当ならソフィーさんベルルちゃんと過ごしたい所ですが、

 お二人が無理となれば順番的に第三夫人で、いたしかたないかなあと」「なんだ私は保険か」


 ああ、わりとマジでしょんぼりしている!!


「い、いや、いたしかたないというか、当然だって言いたかったんです、その、言葉を間違えました!」

「まあ良い、誕生日の夜に私を選んでくれた事に変わりは無いのだからな」

「は、はいっ、と、とーーぜんですっ!!」


 何とか機嫌を直して貰わないと。


「それで誕生日はどうだった」

「こっ、こんなに豪華に、大人数に、びっくりです」

「実はまあ、私の除隊式や結婚式を見たい連中はできれば、

 スペシャルウィーク初日から来て欲しいと私が方々にお願いしてだな……」


 あーそれで軍関係がいっぱい。


「もちろんソフィーやベルルも各教会に同じような事をお願いしたらしい」

「つまり、僕を祝うのは、ソフィーさんベルルちゃんリア先生目的の、ついで……?!」

「何を今更、自分の位置というか価値や立場は今更な話だろう……まあ、なんだ、一応謝っておく、済まない」


 いや謝罪されても。


「大丈夫ですよ、ちゃんと僕のクラスメイトや学院で一緒に過ごした方々があんなに」

「同窓会のついでだとしてもか」

「うっ、こういう事を詰めるのはもうやめましょう、終わった事ですし」


 うん、何かみじめになるからね。


「……まだ誕生日は終わってなかったな、ミスト、私に何か希望はあるか」

「希望っていうと」「どのようなプレイでもするぞ、ただ、明日の事を少しは考えて欲しい」

「ええっと、スペシャルウィークの二日目、何をやるんでしたっけ??」


 さすがにあきれ顔のリア先生、

 僕の寝室に物凄く大きなため息が。


「定例の闘技大会だ、きちんと日程が最初から決められている方のな」

「ああ隔月の! 先月、僕が勝手に開いたのと違ってちゃんとお客さんが来てくれそうですね」

「今日の客も楽しみにしているだろう、満員は間違いなしだ」


 というかむしろ、僕の誕生日イベントの方が、ついでだったんじゃ。


「リア先生も出場するんでしたっけ、あ、アイツかあ」

「そうだ、メランの闘技大会で私が不戦敗した」

「すでに決定ですか」「確定ではないが決定に近い、まあ見ればわかる」


 何か仕掛けがありそう。


「だから私の身体にあまり負担をかける事はやめてくれ、その、後ろとか」

「お尻ですか!!」「なんだその嬉しそうな言い方は」「いやまあ」


 リア先生に夜のベッドで勝てる、唯一の方法だからねっ!!


「なら今夜はリア先生に甘えるだけで良いです、甘々の甘々で」

「なんだ、私に夢中だった女学生みたいなこと言うのだな、女装させようか」

「勘弁してください、それにリア先生、結婚したら」「ああ、したらもう相手はミストだけだ」


 ……とはいえ今後、

 本当に必要な事があれば許してあげたい、

 いや僕が遊びを許して欲しいからじゃないよっ!!


(話を真面目に戻そう)


「希望っていうか、結婚式が近いという事は、答え合わせも近いという訳で」

「エスリンに答えを引き出して貰ったか」

「いえまだです、でも今日、かなり大きなヒントを見た気がします」


 そう、コリーくんだ、

 現役学院性の聖女、ええっと名前なんだっけ、

 思い出せないや、その後輩がコリーくんを好きな理由が同じなんだっけ。


(答えを聞いて、泣きながら崩れ落ちて、聖女に抱きついていた)


「ミスト、ミストはそれで、どう答えるつもりだ」

「あっはい、えっと、ええっと、まだ決まってません」

「そうか、ただ、答えには確実に近づいているのだな?」「さあ」


 あ、リア先生、困ってる困ってる!


「本当にまったくの真っ白か」

「んーと、僕は答えを聞いて、耐えられるでしょうか」

「わからん」「あっ、そう言ってましたものね何度も何度も」「本当にわからない」


 よし、じゃあアプローチを変えよう。


「僕はその答えを聞いた時、どうするべきですか?」

「そうだな、受け入れるべきだとは思う、というか受け入れるしかない」

「はぁ」「事実は事実だ、ソフィーやベルルがミストを愛しているのは、間違いなく事実だ」


 幻では無い、と。


「そこは本当の事なんですよね」

「ああ、そして『ミストを愛する理由』も、間違いなく事実だ」

「えっ、それってどういう」「これもヒントになるな」


 うーん、理由も事実、かぁ。


「サリーさんはなぜわからないのか不思議みたいですが」

「女性視点だとわかりやすい、というか傍から見て、側から見てもわかる者は多いと思うぞ」

「横から見ればわかる、ですか、見方が変われば……」


 むしろ自分視点だと、わかりにくいっていう理由?!


「僕でも、気付けますか」

「気付けたなら気付けるが、気付けないならまったくわからないだろう」

「ちょ、頭を混乱させないで下さい!!」


 これは僕が間抜けなだけなのかも。


「気付かない人って僕以外にも居ますか」

「それは居る、普通に居る、だが多くは無いだろう」

「んーーー、気付かない、気付けない、でも普通は見たらわかる……」


 ここで僕に。直感のようなひらめきが!!


「も、もっ、ももも、もしかして!!」

「なんだミスト、ついにとうとう気付いたか」

「いえ、多分82%不正解でしょうが、答えさせて下さい!!」


 よし、もうここで、答えてしまえ!!

  だめ貴族の土壇場で出した回答とは?! ミスト。


「ソフィーさんベルルちゃんが僕を好きな理由は!」

「その理由は……?!」


 次回に続く!!!

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