第291話 ついに始まったアンデッドダンジョン攻略
「えっとこれ、どういう仕組みになっているの」
僕は渡された最新式アイテム袋の口を拡げると、
通路の先から闇魔石や剣や盾や金貨銀貨や宝石が、
吸い寄せられるように入ってくる、楽にも程がある。
「ミストくん、ちなみに扉や宝箱も勝手に開いているはずよ」
「ですわ、この階のアイテムは全てミスト様のものですわ」
自動収集アイテム袋か、
しかもアイテムの方から勝手に来てくれるっていう、
どういう仕組みなのよこれ?!
「うむ、ミスト、ジゼルが喜ぶな」
「あっはい、これだけ剣があればエンチャントでしたっけ、それがやり放題ですね」
ジゼルさんが奴隷落ちしたきっかけになった……
って親方が仕事で請け負ったのを勝手にやって全部駄目にしたらそりゃあ、ねえ。
「下の階へはあちらですね」
「次で地下40階になります」
降りた場所はとにかく広い空間、
そこに居た骨の巨大トカゲ? みたいなのが
みるみるうちに浄化されていく、骨が蒸発するみたいに。
(入った瞬間、ソフィーさんベルルちゃんの聖なるオーラにやられる感じだ)
そして残された大きな闇魔石、
部屋の奥にある大扉がガガガガガッと開いて下への階段を覗かせる。
「ここは上層階のボス部屋だったようです」
「側面に隠し扉があったようですわ」
中から槍やら大盾やら出てきた、
この部屋で敗れ去った冒険者の物だろうか?
意外と清潔好きなアンデッドだったのかもしれない。
「ミストくん、ちなみにそのアイテム袋、フロアの敵が全滅したら発動します」
「ですわ、ですから敵がまだ残っているか、アイテムの無い階では何も起きませんわ」
「へー、すっごく便利だね、ジンくんロックくんたちマジカルリスタートにもあげたい」
ていうかここ、彼らと共同攻略でも良かったかも?
いやいや今まで見ると必要ないか、ここまでイージーモードどころの話じゃない、
単なる空き巣訪問みたいなものだ。
(ボス相手に自動浄化ってなんだよっていう)
これならアンデッドは朝昼に弱くなって
夜に強くなるっていう特徴すら意味がない。
下への階段前でリア先生が僕を待ち構える。
「どうするミスト、次から中階層だが、ここで少し休むか」
「えっと、次からいよいよ本格的な攻略でしょうか」
「そう言うのであればそう言えなくもないが、敵は最後のラスボスまでは、ずっとこのような形だろう」
ラスボスさえ瞬時に浄化したらどうしよう。
「僕はソフィーさんベルルちゃんの回復魔法で疲れてませんが、キリィさんモリィさんは」
「平気です」「問題ありません」
「エルフの三人は」
「ここまでは何とも」「暇ですね」「油断はしていませんが疲れはありません」
「じゃ、いっか」
本来ならここまで凄まじい戦いをし終えて、
ようやく倒せたボスに安堵して休む所だろう、
夜を避けるのであればここで一晩過ごす手もある。
(とはいえここまで一時間くらいな気もする)
中層階、最初の41階も入ったとたん目の前に居た強そうなスケルトンが浄化された、
すぐにアイテム袋を出すと金銀財宝装備色んなものが吸い込まれていき、
あとは単なる出口さがしゲームだ、攻略後はそういう観光スポットにもできるな。
「ミストくん、この中階層は罠が多いようです」
「でも何の問題もありませんわ、念のため、離れないようにお願いしますわ」
そうして進んでいると確かに結構な頻度で罠が現れた、
おそらくこの上から敵のスケルトンがいっぱい降ってくるのだろうなという罠や、
底が抜けて沢山の刃物が突き出ている所へ落とされそうになるが……
(ちょっと落ちた所で見えない床が守ってくれている!)
ソフィーさんかベルルちゃんの、
もしくはその両方のバリア魔法だ、
横だけじゃなく下にも使えるのか。
(と思ったら上から降る槍にも使っている)
これも自動で発動しているのであれば、
これはもう無敵だ、と思っていたら床に魔方陣が発動して……!!
「うわっ、これ、転移した?!」
移動させられた部屋には大量のスケルトン!
が、一気に浄化されていく、姿が一瞬見えただけで種類も何もわかりやしない。
(もちろん僕はスケルトンの種類なんて知らないけれど!)
「ふむ、この空気、かなり深い階に移動させられたようだな」
「リアさん、そんな事わかるんですか!」
「むしろこのパーティーではわからないのはミストだけだと……いやすまない」
どうせ僕なんて……
だめ冒険者だもの。 ミスト
「ミストくん、ショートカットできたのですから喜びましょう」
「ですわ、早くこのダンジョンの主を倒して、ミスト様が褒め称えられますわ」
なんだか最後方でエルフ三人がひそひそ話している。
「……私達もフォローに加わった方が良いのでしょうか」
「しかしご主人様のお相手は奥様方が最優先ですし」
「何でも良いから褒めて良いのであれば今からでも」
新人に気を使わせてしまっているな。
僕はわざとらしく咳払いをしてみせる。
「とにかくこれは立派なダンジョン攻略なんだ、油断せずに行こう!」
と言いつつ壊れた壁の破片に足を躓かせた僕であった。
「ミストくん、ではこうしましょう」
「はいソフィーさん、なんでしょう」
「この中階層の中ボスが、どんなスケルトンなのか予想してみて下さい!」
暇つぶしのどうでもいい仕事割り振りきたああああああ!!!
「う、うん、さっきのがトカゲのスケルトンだったよね」
「スケルトンリザードですね、では次は」
「うーーーん……スケスケスケルトン?!」
まずい、語呂の良さだけで言っちゃった。
「認識阻害スケルトンですか、ミストくんさすがです」
「ミスト様の発想、素晴らしいですわあ」
「ミスト、意外とそれに近い敵かも知れんぞ」
あ、これ知ってる、
王都の学院で拾って読んだ小説にあるような、
ハーレム要員が『さすがですすごいですね主人公クン』て褒めちぎる系のやつだ!
「御主人様さすがです」「さすが御主人様です」
キリィさんモリィさんまで!
「これが当たったら尊敬します」
「でも他の予想も聞かせていただきたいです」
「きっと立派なスケルトンを想像していただけるかと」
エルフ隊までー?!
(これ、暇つぶしに遊ばれてるな……)
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