第255話 友好国となる条件
疲れ果てた一日、女帝ミラーを倒してからその日のうちの完全制圧、
そして夜遅くのメランにて王妃様の治療が終わりようやく食事にありつけた。
(食べ終わって見たら満足、満足)
せっかくだから泊まって行って欲しいと国王陛下から伝言があったらしく、
僕の判断でそのお言葉に甘える事になったらしい、いつ判断したんだろ謎だ。
(言わなくてもわかってますから、とかソフィーさんに言われたけど、どゆこと?!)
大きなお城だけあって部屋は各自に割り当てられた、
ソフィーさんベルルちゃんリア先生も疲れたので早く寝たいらしく、
タフなあの三人がそう言うのだからと特に邪魔せず僕もひとりで寝る。
(あ、元盲目聖女もキリィさんモリィさんも個室です)
ちなみにお風呂から出ておやすみの挨拶に回った際、
ソフィーさんから『今夜は』ハニートラップはありませんから、
などと言われて逆に次はあるのかとか今まで全部仕込まれてたのか?!
などと思ったりして少し怖かったが、疲れ切ったのでもう眠ろう。
コン、コン
「失礼する」
あ、メラン国王の声だ。
「はいどうぞ」
こちらもこちらで疲れた表情、でも安堵の表情にも見える。
「本当に、本当にありがとう、こんな奇跡があるとは今でも信じられない」
「そ、そんな陛下が膝を着かないで下さい」
「今はひとりの、一個人の妻を救ってもらった夫だ、ありがとう、ありがとう、ありがとう」
僕ごときの、だめ辺境伯に頭を何度も下げる、
うん、確かに国王としてじゃこんなこと絶対できない、でも……
「メラン国王陛下にもナナスータの、ムスタ城陥落に大きなお力を添えていただきましたから」
「あれは妻に移植する臓器の主を探しに行ったようなものだ、女帝ミラーの無敵な強さは聞いていた、
それを倒せた貴方たちはまさに奇跡だ、周辺国のひとつとしても礼を言いたいがそれは今度だ」
涙をぬぐうメラン国王、
食事中のトークで爺さんも言っていたが、
王妃ターレイさんの病気を救うために本当に方々周ったらしく、
直接会ってはいないものの、女帝ミラーにすらすがったらしいが酷い言葉で断られたらしい。
(各教会でも駄目だったらしい、こっちは教会合同で治療するっていう概念すら無いだろうからね)
「それで陛下、我々は明日にでもナスタ北部へ」
「ああ、君の妻たちもメイドも熱心に調べていたよ、うちの資料を提供した」
「そ、そうだったんですか」
僕には早く寝てって言っておいて……
気を使わせて悪いっていうすまない気持ちと、
そこは僕を外してやるんだっていう疎外感というか、
やっぱり頼りないんだろうなっていう気持ちが僕の心を少しえぐる。
「そのような顔をしないでくれたまえ、全ては君のためにやっているようだ、辺境伯」
「す、すみません変な顔をしちゃって」
「いや新婚は色々不安になるものさ、私だってそうだった、だが互いに信じ合う心があれば問題ない」
うん、ソフィーさんベルルちゃんリア先生たちを信じよう。
「わざわざありがとうございます」
「さて、ここからは『国王』としての立場の代弁とでも言おうか、いや代弁はおかしな言い方だな、
リーク、いや違う、まあこれは水面下の交渉、そんな大それたことでもないな、そうだな、ひとりごと、いや……」
「わかりました、立場を忘れての密談という事で」「よし、それでいこう」
うん、あいかわらずこういうのは面倒くさい。
「まずナスタについてだが、できるだけ早く統一の流れを見せて欲しい、
最強の聖女と呼ばれた女帝ミラー亡き今、オプラス王が勝つ流れがはっきりできれば、
勝ち馬に乗るのは皆早い、こちら側諸国の取りまとめは私に任せておいてくれて構わない」
おお、ありがたい!
いいのかな、そこまでしてもらっちゃって。
「ありがとうございます」
「アルドライドの王にも伝えたが、すでに秘密裏に各国へ話は送った、
ナスタ自身にもそれなりに犠牲を払ってもらうが和平のためだ、それはオプラス王に軽く言ってある」
「犠牲って?!」「そうだな、一番早いのは領土だ、多少は仕方あるまい」
うーん、削られちゃうのかな?
内戦が終わってボロボロになった国って、
他国から見たら攻め入り放題かもしれない、
それを事前に差し出す事で許してもらおうって事か。
(でも元々、内戦で三分の一になってたんだからまあいいよね)
他にも問題は山積だろう、ナナスータのメイド中毒にされた王子とか。
「あ、でもそもそもナスタって共同統治とかいう話、出立前に」
「それも含め政治的な話だ、君にはまだ早い、とにかく今はナッスタを潰してくれればそれで良い」
「はい、が、がんばります」
辺境伯とはいえ国王クラスから見たら、
僕なんて一兵卒に毛が生えたようなものだ。
「それとこれは今回の件が終わってからで良いが、メラン国王として冒険者パーティー、
君たち『ポークレットファミリー』に依頼を出そうと思っている」
「そ、それはなんでしょうか」
「うちの南部、海に面した国サザンヌとの国境あたりに大きなダンジョンがある、
古代遺跡ダンジョンでアンデッドの巣窟だ、そこから敵が溢れ出している」
「スタンピードですか?!」
「それに近い状況になりつつある、強い浄化魔法が必要だ、一応、心に留めておいて欲しい」
あ、聖女頼みなやつだ、って今更かぁ。
「最後に私は、メラン国王は、我が国はアルドライドの友好国になりたいと思っている、
今後これから君にやってもらう事はそのための条件だとでも考えてもらって構わない」
「友好国になるための条件、ですか」
「さすれば君の、アルドライドでの重要度も地位も上がるだろう」
……面倒くさい事は嫌いだけど、
貴族としてのプライドのためには避けて通れない話だ。
「わかりました、やるだけやってみます」
「期待しているよ、私だけ納得しても我が国全体がアルドライドを認めなければ友好国にはなれない、
そのために一肌脱いで貰う舞台も用意する、それも話は今度だ」
硬く僕の両手を握るメラン国王。
「……本当に、ありがとう」
「は、はいぃ」
感謝されてるのにこの国王、真正面で目を合わせるとやっぱりそこそこ怖い
だめ貴族だもの。 ミスト
翌朝、例の『アルドライド国王の叔母の孫娘』にあたる、
メラン国第二王子の側室、第二夫人シルミーさんを交えて朝食をとった。
「コニーお婆様はアルドライドで、あまり良い思い出はなかったようでして……」
(あーこれアルドライド王に会わせて大丈夫かな、まあいいか大人だし)
さあ、ナスタに戻って北の、クスタ城へ向かって出発だ!
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