第253話 新たな国カフリス参戦! ってどこ?!

 夜のムスタに集結した首脳陣、

 例のパーティー会場、大広間に勢ぞろいである、

 壊れたテーブルとかなんやかんやはとりあえず他所へ片したみたい。


(隣りに用意されてた、冷めてた料理とかいつのまにか食べ尽くされてたけど、良いのだろうか)


 お城で負傷者を治していた時に休憩の兵士がみんな何やら食べていたが、

 パーティー料理をこちら側の衛生兵とか魔法使いが温め直したっぽかった、

 もちろん変な物とか呪いとか入ってないか調べた上でなんだろうけれど……


(あそこに居た生きた敵側メイドは、みんな地下牢だそうです、パーティー会場で泣いてた生き残りも)


 と心の中で誰かに説明する僕。

 男が食べても平気なものだとわかったのであれば僕も一口づつ頂きたかった、

 持ってきてくれてもいいのに、そういえばお腹空いたなあと思いつつ周りを見渡す。


「おお、ここへ来られる日が来るとは」


 と感動しているのはオプラス王だ、

 両隣にはちょい久しぶりの近衛隊だっけ?

 副隊長のアルアカさんと心臓を交換してそんなに経ってないダラス隊長。


(隊長さん、いかにも無理して来てる感じだから、戦えなくても横に居たいって感じかな)


「そちらの聖女に進言された通り、三十代後半から四十代の敵の女性をそれなりに捕まえたぞ」


 ソフィーさんに奥さんの治療を早く始めて欲しいメラン国王、

 横に居る例のいかつい鎧の爺さんはなんとなく、昔の教育係か何かに見える。


「アッマヨラッツトラッサルラ、ターラアッタララルラレラー、ラルフルフラッラアラッララッツラー」」

「遅れて申し訳ありません、砂漠の民を含め、こちら側に犠牲者が居ないようで良かったです」


 地下の方で行われたオークレース全12Rが終わって夕方から駆けつけていた、

 砂漠の国リーダーのアムムルさんと通訳のアダッマー女史、

 彼女は一応、敵のナッスタと薄い繋がりがあったんだっけ?


「作戦会議もあるというので来ました、自由に遊撃兵として使って下さい」


 休憩してもらった僕らのお抱え冒険者『マジカルリスタート』

 リーダーのジンくんと僧侶のノウくんだ、多く来ると邪魔になりそうと二人だけ来た。


「これはこれは各国首脳の皆さま、奴隷解放をして周りましたワタクシ、

 アルドライド王国の国王陛下にここ最近可愛がっていただいております、

 侯爵家長男、サンネイズ商団の次期団長、ボリネー=アビタラーナでございデュフ!」


 無駄にイケボを発して畏まる肉ジェントルメン、

 両隣に獣人奴隷を従えるその姿は明らかに悪徳奴隷商人の見た目だが、

 最近はリア先生がリスペクトするのもわかるくらい、芯がしっかりしている肉だと実感した。

 なぜここへ来てるって? 僕が呼んだんだよ、ちょっと「各国の王様相手に緊張する」って言ったら!


 『任せるデュフ!!』


 って言ってついてきたから、肉船に乗った気分で任せる事にしたんだ!!


(リーダーになったからか結婚式が近いからか、奥さんあんまり僕を助けてくれないからね!)


 厳密には僕に先に何かさせてみようっていう、自立を促すみたいな?

 ってそれじゃあソフィーさんベルルちゃんリア先生、

 みんな僕を捨てて出て行っちゃうみたいじゃんかやだー!

 今も僕を一歩引いて見守っている、領主しっかりしなさいって感じ。


「偵察隊やメッセンジャーになる冒険者はまだしも、なぜ商人がここに、しかもそこまで可愛がっては、まあよい」


 と喋りながら途中でおそらくどうでもよくなった我らがアルドライド国王陛下、

 でも許したのはボリネー先輩が片膝着いて、物凄く様になる礼をしてるからかも。


(ボリネー先輩、一歩間違えたら鞭持ったサーカス団団長だな)


 とまあ緊張の間に一肉入れた結果は良しとして。


「国王陛下、ムスタ城を中心としたムスタ、全て完全制圧を終えました」


 と僕も片膝着いて報告する、肉先輩に負けてはいられないや、イケボは出せないけれど。


(で、いいんだよね? いまだに制圧の定義がよくわかってないけれども!!)


 満足そうなアルドライド国王陛下が玉座を指す。


「うむ、では最後の儀式だ、さあオプラスよ、敵将の首を討ち取るのだ!」


 見るともうすっかり変色した女帝ミラーの身体に首がくっつけてある、

 これ合体して蘇らないよね? ね? って4回くらい聞いたら生命反応はもちろん、

 魔力反応もまったく無いので、これで蘇ったら魔法の歴史が変わるとまで言われた。


(あ、オプラスさんがやけに伝統感のある剣をダラス隊長から貰って抜いた!)


「女帝ミラーよ、正々堂々と一騎打ちだ、その首、頂こう!」


 このお膳立て、他人事じゃないなと思いながら見守る僕、

 それなりの駆け足で玉座へ突っ込むオプラス王、ちょっとよろけ気味。


「でやああああああああああ!!!」


 ザクッ! と女帝ミラーの胸を刺す!!


(えっ、そこ?!)


 ぽろりと落ちた首!

 今更である。


「討ち取ったぞー!!」


 あ、剣を抜いてその先に落ちた首を刺して掲げた!

 ダラス隊長もアルアカさんも涙を流して喜んでいる。


(拍手でもしようと思ったが、そんな空気じゃないなこれ)


「うむうむ、これにてオプラス王が女帝ミラーを倒したと認めよう」


 うーん、これも面子の問題か。


「メラン王も、異存はないな?」

「我が国としても認める、これでひとまず方は付いた、さあ早く」

「わかっておる、しばし待たれよ、新たな報告がある」


 涙をぬぐったダラスさんが敬礼して言う。


「残る怨敵、ナッスタが隣国カフリスと手を組んだとの情報が入って参りました!」


 まったく知らない国の名前に思わずメラン王の顔を見る僕。


「いや、我々の方角ではない、北だ、正確には北北東だ」


 アイテム袋から地図を広げて見せるアルドライド国王の衛兵、

 見ると確かにナスタと面している北側の国だ。

 女帝ミラーの首を剣に刺したまま、オプラスさんが説明する。


「前々から貿易をしていたようじゃが、

 なにやらナッスタ領主リスエトと妻エリアスの間の何番目かの娘が、

 カフリス南部の公爵家に嫁入りしたようで、正式に友好国となったようじゃ」


 あー国と国でもそういうのはあるんだよねやっぱ。

 その理論でハイドロンのお嬢様も本当は僕の嫁にしなくちゃいけなかったんだけど、

 枠がもうないっていう……いや、準愛人の末席ならあるが、逆にそれ屈辱だろうっていう。


(って考えが横道に逸れたな)


「そして、新婚夫婦の新たな城を国境の上に建設していたのがついに完成し、

 そこを『クスタ』という街にして新たな拠点とするようで、

 いざとなったらそこへ逃げるかも知れん、もしくはさらに北のカフリス内へ」


 亡命か、そうなると多分もう、どうしようもなくなる、

 もちろんナスタから敵を追い出す事は成功するんだろうけれど、

 今度はカフリスという国として向かってきたらまた大変だ、国土は意外と面積あるし。


「頭が痛いな、南側であれば我がメラン国が話ができるが、北はさっぱりだ」


 あ、王妃様の事で頭がいっぱいかと思いきや、

 ちゃんと話には入ってくれている、さすが国王だけはある。


「そこでだ、ミスト=ポークレット辺境伯」

「は、はいアルドライド国王陛下」

「急いで行って軽くクスタを潰してこい」


 そんなお買い物のおつかいみたいに!


「か、かしこまりました国王陛下!」

「敵の補給線を切り退路を断つ意味でも重要だ、頼むぞ」


 そんな国王陛下との会話に何か言いたげなメラン国王、

 ここは僕が言った方がいいのかな、とソフィーさんベルルちゃんを見たら頷いている。


「それではまずは、これからメランへ行って王妃様の治療をして参ります!」

「……そちらの方が重要か?!」


 うわ、睨まれた、怖い!

 メラン国王助けて、と思いながら答える。


「どちらもですが、北へ行くには時間がかかります、その間に王妃様の体調が急変してはまずいので」

「では約束せよ、必ずクスタを落城させると」

「はい、その準備もメランでして参ります!!」


 どんな準備か知らないけれど!


「では行って参れ」

「はい、それではこの後の会議、ムスタの復興については肉、いやボリネー卿から!」

「任せるデュフ」


 よし、これでここでの会議、僕を肉にすげ換えたぞ、ナイス肉塊!


「という事でメラン国王」

「急かせてすまない、ではアルドライド国王、うちの外交大臣を置いて行く、ひとまず後は」

「ソフィーとベルルの回復術は保障しよう、また後日だな」


 最後に握手、ってうちの奥さんを陛下の私物みたいに言わないでー!


「ではまず最初、うちの獣人から報告デュフ」

「はい、奴隷解放をして回っていたのですが、首輪を解いたとたん主人である妻に襲いかかった事例が七件、

 首輪を元に戻してくれ、妻の命だけは助けてくれ、合意だ何をする、といった解除を良しとしない事例が三十一件……」


 めっちゃ気になる報告を後ろに僕とソフィーさんベルルちゃんはメラン王と出る、

 遅れて王の私兵何人か、僕サイドはキリィさんモリィさんがついてきた、リア先生は居残りかな? まあいいや。


「ところでミスト=ポークレット辺境伯」

「はい、なんでしょう」

「ふたりは妻だと聞いたが、どうやってそのような聖女様を射止めたのかね?」

「その、わ、わかりません」

「ほわっ?!」


 一国の王に変な声を出させてしまった

  だめ貴族だもの。 ミスト


(だって本当にわからないんだもおおおおおん!!)

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