第237話 一旦戻って最終調整

「帰ってきたか」


 転移テントでヨンスタまで戻ると我がアルドライド国王が玉座で待っていた、

暇なのか?! て作戦総指揮と思えば当然か、

 ってオプラスさん靴磨いてるし! どれだけ軍門に下っているんだよっ!!


「はい、遅くなって申し訳ありません」


 と普通に跪く僕、ここは貴族としてきちんと対応しないと。


「それでどうだ、共闘はできそうか?」

「いえ、とてもそんな雰囲気では、一応、相手はひとりも殺してはいませんが」


 メイド百人を仕舞っちゃってる程度だ、

 あとは公爵夫人を眠らせたくらい。


「うむ、オプラスの家族救出劇については報告を受けている」

「あっそうだ、アプラスさん……はっ、失礼致しました」

「良い良い、事情と状況を鑑み、不敬は問わぬ」

「ありがとうございます……オプラス王、ご家族との再会は」

「ああ、助かりました、しかし息子が、レブルが……」


 あーやっぱりショックか。


「もう目は覚ましたんですよね?」

「そのなんだ、一言で言えば禁断症状を」

「そんなことに」


 メイドに毎日どんなことされて、

 どうなってどんな禁断症状になってるか気にはなるけど、

 今はどうでもいい、後はついでにゴリラ娘の、

 訛りの訳し方のほうが気になるぐらいだけれども。


「さてデレスよ」

「はっ」

「途中の街までは到着したのだな」

「はい、男は奴隷しか入れないというので入ってみたら、

 そこを治める公爵の男性も奴隷でした」


 とまあゴスタでの出来事を説明する、

 ちなみに公爵の言っていた祖父の別邸は、

 男にしか見えない魔法がかけられていたみたいだった、

 僕が先導すればみんな入れてその庭に転移テントを設置しての一旦帰着、

 そのタイミングで隷属の首輪も外してもらった。


(奴隷プレイにちょっと興味湧いたのは黙っておこう)


 途中からはソフィーさんも捕捉と推測をしてくれた。


「おそらくあのまま食事をご馳走になっていたら、ミスト様は餌食に」

「人質になっていたという訳か」

「あらかじめ対処はしてあったとは言え、用心のために眠らせて逃げました」


 えっ、対処って何の事だろう、あらかじめって。


「しかし女が望めば男が死ぬ呪いか、恐ろしい国だな」


 うん、それは僕も同意だから反応する。


「一応『婚姻の呪詛』って言うらしいのですが、奥さんが死ねば旦那さんも死ぬって一方的ですよね、

 だったら旦那さんが死んだら奥さんも、っていう対等な物では無いらしいですし」

「それで王子の背中にある呪いは消せそうか」


 その言葉に応答するのはソフィーさん。


「無理ですね、首から下を他人に挿げ替える事が可能なら、もしかしてですが……それでもおそらく不可能です」

「呪いだからか、精神にも影響が及ぼしているとなると無理か」

「レブル王子への対処法はのちほど、それで今後ですが」


 ソフィーさんが話を進めようとすると、

 アルドライド国王が壁にある地図を見やる。


「女帝の協力が無理となった場合、隣国の助けが必要となるな」

「それに関してはこの私めが」


 ここでリア騎士団長登場である、

 いや部屋にはずっと居たけれども!


「ナスタ国の南、ここにあるメランという国、ここが僅かに国境を面しております」

「……本当に面しておるのか?」

「はい、実際には大きな道一本で繋がっている程度ですが」


 ギリギリのギリ隣国か。


「だがナスタに比べると三分の二、いや五分の三程度の面積か」

「しかしながら人口はナスタ全土の1.2倍程度はあります、挟み撃ちなら話には乗るかもしれません」

「まったく繋がりの無い国だからな、丁寧な説明が必要か」

「それが、調べているうちに繋がりが判明しました」

「何だ、申せ」


 アルドライド国王の家系図を持って来るサリーさん、って居たのか!!


「こ、こちらでございますです」

「サリーご苦労、国王陛下、こちらのコニーという女性に記憶は」

「伯母上だな、アルドライド東の東、海岸沿いの国に嫁いだ、国名は確か……」

「マキーワ国です、その孫娘が、メラン国第二王子の第二夫人に」

「それは本当か?!」


 思わずガタッと玉座から身を乗り出す!


「はい、名をシルミーと言いまして、その繋がりで要請は出せない事は無いかと」

「わかった、今すぐ一筆書こう」


 サリーさんが色々用意し始めた、

 その間もリア先生の話は続く。


「一応、知らぬ国とはいえ、他の隣国にも報せだけでも出しておいた方が」

「うむ、任せる」

「ではメラン国への遣いの人選も」

「任せよう」

「ははっ、かしこまりました、アルドライドからの使者に冒険者をつけましょう、『マジカルリスタート』という有望なパーティーが」


 おお、まさかのジンくんたちが!


「騎士団では駄目か」

「はい、目立たないようにと、冒険者ならばいかに女尊男卑の国でも

 主要都市でなければある程度自由に動けます、さらに」


 ベルルちゃんがすすすっと来た。


「マジカルリスタートの『サン』と『ノウ』には、転移テントの設置方法を教えましたわ」

「なんと、設置できるのか」

「はいですわ」


 それは知らなかった、素晴らしい。


「わかった、それで話を進めるが良い、以上だ、では書簡を送ろう」


 と手紙を直筆で書き始める国王陛下。

 オプラス王は靴磨きが終わったみたいで

 国王陛下がすらすらやっている手紙の下敷きを持っている。


「あ、そういえばオプラス王の息子さんの、レブルさんって今どこへ」


 禁断症状って事は地下へ監禁か、教会のベッドに縛り付けられているとか?


「それが……」


 言い難そうなオプラス王、どうしたんだろう?

 と思ったらサリーさんが。


「サキュバス温泉ダンジョンですね」

「あっ(察し)」


 ちょっと見に行きたい

  だめ貴族だもの。 ミスト

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る