第174話 伯爵就任のプレゼント
「終わった~」
やりにくくて仕方なかった身内用の伯爵就任パーティーが終わった、
転移テントで繋ぎすぎたせいか色々な所から様々な人がやってきた、
ハイドロンの坊ちゃんは王都やモラベスクから来たソフィーさんベルルちゃんの
元盲目聖女お姉さんズを口説こうとして失敗していたり、マンタ爺ちゃんがなぜか窓の外で立食してたり、
最後の方は呑み過ぎた国王陛下と食べ過ぎたモッコス将軍をそれぞれの奥様が迎えに来たりしていた。
(ふたりとも引きずられるように回収されて行ったなあ)
誕生日を迎えて美熟女に磨きがかかった女勇者アメリア先生もお部屋でバタンキューらしい、
今はほとんど片付けられた宴会場で武神ガブリエルさんだけがいまだに呑み続けていて、
チュニビの奥さまに転移テントで確認に行ったら朝まで放っておいて良いと言われたとか。
(付き合わなくてもいいよね……?)
一応うちのメイドが交代でついてはいるらしい、申し訳ない。
「さあミストくん、あらためて」
と、僕は居間にソフィーさんベルルちゃんと座っている。
「うん、次は辺境伯と侯爵だよね」
「ですわ、優先は辺境伯の確保ですわ」
両方目指すって言っちゃったんだよなあ。
「国王陛下とも非公式で確認しましたが、砂漠の国を南下した街へ道を繋ぐだけで辺境伯だそうです」
「あーリア先生から説明受けました、ええっと確かナスタって国だったよね」
「はいですの、ナスタはアルドライドの三分の一程度の国ですの」
それでも結構、大きい国ではある。
「そこって聞いた話だと内戦中なんだよね」
「ですわ、そのうちひとつがワーム王と繋がっていたようですの」
「ならそこは敵かな、って実際はどうなんだろう」
「行ってみて決めましょう、でも長距離転移テントの作成でもう少し時間をいただきます」
「そうは言っても一か月はかかりませんわ、急げば年末ですわ」
うーん、もう辺境伯に王手なんだし、そこまで急がなくても良いかも……?!
「ソフィーさん、ベルルちゃん、今のこの状況でもう辺境伯内定って事にならないかな」
「まだちょーっと足りないかと」
「そうですわ、終わらせられるものは、さっさと片付けてしまいたいですわ」
あーこれもう優等生と怠け者の考え方の違いだ。
「僕はフォレチトンでのんびり寝てるからふたりで、って言ったら」
「お仕置ね」「お仕置ですわ」「ひいいいい」
(公開恥辱行為で精神的死刑は嫌ああああぁぁぁぁあああ!!!)
「ミストくん、一年で準男爵家の息子から辺境伯に成り上がるのですから、これくらいは」
「もしや道を繋げておしまい、で済むとは思ってませんですわ?」
「わかったわかった、わかったから!」
年末年始も忙しそうだ。
「さて、ミストくん」
「まだ他に何か」
「爵位を新たに貰った時恒例の」
「ええっと、ふたりが僕を好きな理由当てだよね」
「それもありますが、ほら」
なんだっけ、なんだっけ?
ええっと、えーっとぉ……
あ! プレゼントボックスだ!!
「箱!」
「正解です、でも今回は諸事情により箱はありません」
「あ、プレゼントの人は無し?」
「いえ、ただ単に箱が無いというだけです」
「お連れいたしますわ」
ベルルちゃんが廊下へ、
そしてしばらくして連れて来たのは……!!
「ミスト、さ、ま」
栗毛をもこっとさせた、
ソバカス顔に眼鏡をかけた、
背が低く胸がなくても、正真正銘、僕の最初の婚約者!!
「エスリンちゃん!!」
頭に申し訳程度のプレゼントリボンをつけている!
僕に駆け寄ってきて胸元に抱きついてきてくれた!!
「ミストさま、ようやく、ようやく、うわああああああん!!!」
「エスリンちゃん! エスリンちゃあああああん!!」
震えるエスリンちゃんを抱きしめる!
もう、もう離さない、離したくないっ!!
「いいの? ねえソフィーさん、本当にいいの?!」
「……本当は、本当ならばもっともっと、できれば結婚式ぎりぎりまで時間が欲しかったのですが、
ミストくんが我慢できないようでしたので、今後はミストくんが受け取った上での治療、療養になります」
そうなんだ、なんだか物凄く申し訳ない事をしてしまった感じだ。
「ミスト様、まだまだ心が治っておりませんわ、ですので覚悟なさいませ」
「えっ、覚悟って」
「ミストくん、どんな残酷な現実を目の当たりにしても、気を確かに持ってね」
ふたりして、どういう事だろう?
エスリンちゃんはぎゅっと僕にしがみついたままだし、ちょっと爪立ててる。
「あの、あのミストさま」
「どうしたの? エスリンちゃん」
「そ、そろそろ、そろそろリアお姉様を」
「はいっ?!」
「……呼んだか」
入ってきたのはリア先生、
すると、とたんに僕から離れリア先生の胸の中へ!
「リアお姉様あああああんっ♪♪」
その表情は紅らめ、とろける恋する乙女だ!
「エスリン、よくここまで我慢したな」
「はいっ、リアお姉様のためですからっっ!!」
豹変してあきらかにヤバい少女になったエスリンちゃん!
これはあれだ、リア先生にぞっこんのサリーさんをさらに熱くしたような感じだ!
「その、エスリンちゃん?!」
「リアお姉様リアお姉様、エスリンは、エスリンはずっとリアお姉様に可愛がっていただきたいのです!」
「わかっている、ミストの前では大人しくしてろと言ったはずだろう」
「我慢できないんですっ! ああっ、リアお姉様、あ、熱くなってきてしまいました、ど、どうか、どうかお慰みをぉぉ……」
「こらこらエスリン、ミストの前だぞ」
こ、これは、これはアレだ、も、もうこれは……
股間に手をあててクネクネしちゃっているし!
僕の思いを見透かしたかのようにエスリンちゃんが申し訳なさそうに言う。
「ミストさまごめんなさい、私はもう、身も心もリアお姉様の……」
「いやミストこれはだな、ま、まだ治療中だ! エスリン、余計な事は言うなと」
お互いに前に出ようとする。
「いえお姉様、説明させて下さい! 私はもう何もかも全てリアお姉様のものです、ですが、それは女性に対しての話です!
男性に対しては、今まで通り、いえ、今まで以上に、私にはミストさまだけです、ですから私はミストさまと結婚します!」
「ミスト、落ち着いて、冷静に聞いてくれ、確かにエスリンを心の治療のために落とした、確かに身も心も私のものになったのかもしれない、
だが、だが私は、この私は、この私リアは身も心もミストのものだ、よって私のものになったエスリンも、当然ミストのものだ、まとめてミストのものなのだ!!」
(うーーーーーん……)
「納得いかない!!!」
元婚約者を現婚約者に寝取られた
だめ貴族だもの。 ミスト
こんな形で第六章へ続く。
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