動悸が激しいその理由。。。

幸せ色に♪ 🌈

病院嫌いの彼女が自ら、、、

午前の外来がひと段落して、ただいま休憩中。


あ、電話。自分の携帯だ。

え、彼女!? 仕事中にかけてくるなんて初めてだ。どうしたんだろう。


動悸が止まらない・・・ 助けて!って、今どこにいるの?

落ち着いて。大丈夫だから。

話できる? 話しできるかなぁ。

ね、大丈夫? 今どこにいるのか、教えてもらえないかな。


病院だよって、え?うちの病院?


違うよ、駅前の病院にきてみたの。

なに、どこか具合悪いの?


ううん、検診にきてみた! って、病院嫌いの君が自ら?


検診って何の? あー、がん検診ね。

昨日言ってたよね、そろそろがん検診受けた方がいいかなぁって、、、不安そうに言ってたよね。

思い立ったら吉日的な・・・ えらいじゃん。えらすぎだよ!

でも、動悸が止まらない・・・って今、どんな状態? もう検診始まってるの?


まだ検診は始まってなくて、聴診が終わったところなんだけど、心拍数が早すぎて、これだとレントゲンや検診はできないって。

それで、今は診察室奥のベッドで横にならせてもらってるんだね。


わかった。今って、緊張してるかな?


緊張? うん、少しはしてるかもしれないけど、自分ではそこまで緊張してる感じはないのね。


何か思い当たることってある? 今朝、俺と家で別れてから何かあった?


あれ?黙っちゃうんだ。

ん?泣いてる?? 落ち着いて!

病院の先生と話できないかな。

ちょっと君の様子を聞いてみる。


それは、できない。って、なんで??


それは無理・・・ だから、なんで??


なー、今回は検診やめにして、おうちに帰ってゆっくりするのはどう?

慌てて、無理してがん検診を受けることもないし。またの機会にしたら?

一度、おうちに帰ってこれる?

俺もこれからちょうど休憩時間に入るから、一度家に帰るから。15分後に、家で会おう。

君は、タクシーで帰っておいで。そしたら、1時間弱は一緒にいられる。


わざわざ帰ってこなくていいよって言われてもなぁ。


いや、君の様子が気になるし、顔みたいから。

わかった。お、言う事きけたねー、えらい!

じゃあ、15分後におうちで会おうな。


あれ?15分経ったのに、なかなか帰ってこないなー・・・

電話してみようっと。

もしもし、今どこ? 病院はもう出たよね?


まだ病院にいる。


もう、いいよ。帰っておいで。今日頑張らなくちゃいけない理由でもあるの?


黙っててもわからないよ、君の気持ち。

そんなに無理することないよ。

だから、一度帰っておいでって。

話聞くから。


話すことなんてないもん!かー それでもいいから。

とにかく、君のこと、ぎゅってしたい♡

病院嫌いの君が一人で自ら検診に足を向けられたこと、褒めてあげたい。


でも結局無理だった・・・ うん、そんなのいいの。

とにかく、褒めて褒めて褒めまくって、ぎゅしたい。だめ?

帰ってきてよ。おねがい。


でも、色々と詮索しないでほしいんだけど・・・


あー、そうか、わかったよ。

君のタイミングで話してくれればいいから。


ピンポーン! あれ?まさか。

わー、帰ってきた帰ってきた。帰ってきてくれたんだね。よかったーーー♡


まだ動悸激しい? まだかなり動悸が激しい感じがしてるんだね。

ひとまず、中に入ってさ、手洗いうがいをすませたら、ソファーでゆっくり休みな。

あたたかい飲み物でもいれてあげようっと。

どうしたのか、何があったのかすぐに彼女に聞きたいところだけど、ここはぐっと我慢。

あれこれ畳み掛けてもなぁ。


ソファーまで来れたのはえらいけど、あれ?泣いてる??


ねー、大丈夫~? 涙でてきちゃったね。

なにの涙かな。つらい? 苦しい? 不安? 怖い?


だいじょうぶ! って、でた。君の「大丈夫」

当てにならない君の「大丈夫」・・・

ひとつ聞いてもいい? ひとつだけ。

なんで、今日検診に行ったのか?

行こう!と思ったのはえらいよ。本当にえらい。

でも、病院嫌いの君が一人で、、、


さっき色々詮索しないでって言ったじゃん。まぁ、その通りなんだけど。ごめん。

気が向いたら話してくれるの?


わかんないの? 一人で抱え込まない方がいいぞ。

心配だなー 君の心が壊れてしまいそうで。


お仕事戻らないの?って、そっかそっか言ってなかった。

午後の外来、同期に代わってもらったんだ。

彼女と一緒にいてあげた方がいいんじゃないって言ってくれてさ。

だから、慌てず、焦らず。ゆったり2人で過ごしましょ。


時間あるから、ゆっくり時間をかけて君と向き合うことにしようっと。

暫く時間あげるから、ゆっくり考えてもらってもいい?


今は何も考えたくないのか、そっか、わかった。

じゃあ、ちょっとおいで。俺の膝の上。うん、よしよし。

今って泣きたい気分? だろうと思ってた。頭の中空っぽにして、一度思いっきり泣いちゃお。

そうすることできっと、頭の中がすっきりして思考回路がポジティブに変わってくるかもしれない。

君なら大丈夫。泣いてる間、ずっとぎゅってしててあげるから。大丈夫、大丈夫。


どう? 泣きたいだけ、泣けた? 呼吸苦しくなってない?大丈夫かな。

うん、大丈夫そう…だね。

落ち着いてきたところで…なんだけど、今日自分で検診に行けて本当にえらかったよ。

どの辺りから、苦しくなっちゃったの? 覚えてる?


自分でわかってるんだね。俺に話せる?どの辺りから苦しくなってきちゃったのか。


病院に着いて、名前を呼ばれたときに、まずビクッとなって怖くなって逃げ出したくなっちゃったんだね。でも、そこはぐっとこらえた。すごいじゃん。

その後に、問診票を記入して診察受けてくださいっていわれたんだけど、レントゲンだけ受けてさっと帰るつもりでいたから、急に診察しますっていわれて、驚いて焦っちゃったのか。

その問診票に、「今現在かかっている病気」を記入する欄があって… うん、あるよね。大事な部分だし。

君はそこは空欄でよかったでしょ。


それが最近体がしんどくて。やっぱり・・・最近なんかつらそうだなぁとは思ってた。

なにか、精神的なものかなぁ? なにかあった? なにかあったんだよね?

俺、相談にのれない? もう一人で抱えこまないで。


今日中に俺に何があったのか話をするか、明日の朝一でうちの病院の心療内科に行って相談にのってもらうか、どっちにしようか。

もし俺に話しづらいようであれば、第三者に話を聞いてもらうっていうのは良い方法だと俺は思う。

君の症状をみて、どうすれば落ち着くか考えてくれて、楽になるお薬をだしてもらえるかもしれない。

ひとまず心療内科の外来の予約の空き時間を調べてみるよ。

あー、けっこういっぱいだなー、このご時世だから。

でも、ちょうどよく明日の外来担当は俺の同期だ。そしたら、外来の最後の最後にいれてもらおうかな。

俺は待合室にいてもいいし、もし、その場で君が俺に一緒にいてほしい!というのであれば一緒に診察室に入るようにするけど。どうかな。ちょっと同期に明日空き時間があるか聞いてみる。


心療内科?そんなの行きたくない。まるで、私弱いみたいじゃん。まぁな、人間生きていれば、そういうときもあるよ。不安を吐き出してさ、解決策を一緒に探ってもらう感じ。弱いとか、そんなんじゃないよ。

体に顕著に症状がでちゃってるから、一度専門の先生に診てもらった方がいいんじゃないかなと思ってさ。

ちょっと待ってて。同期に電話してくる!


病院に行く行為自体がしんどいんじゃないかなということになって、リラックスして話せるところで会おうってことになった。今日仕事が終わったら、うちに来てくれるってさ。

病院だとまた緊張して、しんどくなるでしょ、きっと。だから、うちで。


来てもらっても何も話さないからって、そんなこと言わないで。

不安なこと、今悩んでることとか聞いてもらったらいいよ。俺は席をはずしてもいいしさ。


ごめん、実はずっと隠していたことがあって。って、なぁに? 話せそうなタイミングきた?


うん。って、えらーい。なになに? 話聞くよ。


うんうん。この間行った定期検診で病気が見つかっちゃったの? あ、そうだったね。時間あるから精密検査も今頑張れそうなら、やっちゃいなって話したよね、俺と電話で。その細胞診で、、、何か見つかった? 良性の腫瘍がまさか大きくなってたとか? 違うんだ。じゃあ、なんだろ? 話せる?


良性だったものが、悪性になってたんだね。そうだったんだ・・・ 驚いた?って。

そりゃあ、びっくりした! 衝撃受けた? まぁ、そりゃあ衝撃受けた。

ちょっと深呼吸させて。あ、一緒に深呼吸しよ。それから、話の続きしよ。

吸ってー 吐いてー 

よし! 気持ち切り替えていきますよ。

病名ってわかってるのかな? わかってるんだね。 癌って聞いたら、驚くよね、頭真っ白になるよね。今回の話は一人で抱え込むような内容じゃなかったじゃん。話してくれてよかった。

他のところにも癌ができてたらどうしよう…って思ってがん検診を受けてみようと思ったんだね。

問診票に病名を記載するとき、それはしんどかったね。それが、動悸が激しい理由だったんだね。


あと、病気に関してわからないことがあまりに多すぎてって、そうだよね。

ネットからの情報くらいしかないもんね。

病気自体のことは、指定の再来院の日に俺一緒に付き添うからその時に詳しく聞くとして。

精神的な面は、今夜俺の同期の心療内科の先生に色々と相談してみることにしようかね。

癌患者さん特有の悩みの相談てよくあるって聞くから、安心して悩みを相談してみようね。


おっと、笑顔、、、君の笑顔久しぶりにみれてなんか嬉しい。

俺に打ち明けられて、少し安心したかな。


大丈夫、いい方向に向かうように俺が全力でサポートするからね。

少しの気持ちの変化でも、体調のことでも遠慮せずに俺にこれからは話してね。

一緒に乗り越えていこう。

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動悸が激しいその理由。。。 幸せ色に♪ 🌈 @shiawaseiro

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