第13話 復讐完了2:フレイヤ王女
「こ、この外道! こんなことをして、お父さまが絶対に許しませんよ!」
「へぇ。すごいんだな、お前のお父さまってやつは」
「当然です、わたくしのお父さまはこの国の王なのですから、だからあなたたちも下がりなさい! 下郎ども、図が高いですわ! それ以上不埒な真似をすれば、後で全員打ち首獄門ですわよ!」
父であるライザハット王の権威をかさに着たフレイヤの一喝で、群がっていた男たちの動きが緩慢になる。
男たちは不安な顔を見合わせながら、お互いの出方を探ろうとしていた。
このまま怒りと欲望のままフレイヤを犯してしまうか。
それとも捕虜として扱って、今後の交渉カードに使うか。
大方そんな損得勘定を考えているんだろう、暴徒のくせに意外と理性的なんだなと、リュージは少しだけ感心していた。
しかしそれではリュージの目論見は達成されない。
だからリュージは最後のカードを切ってやった。
「いやーそうかそうか、そりゃすごい。死してなお王として働くとは本当にすごいな、お前の父親ってやつは。その勤勉さには感心するぜ」
「え……? 死んだ……お父さまが……?」
「ああそうさ、ついさっきここに来る前に俺が殺した。ヤツは姉さんの仇だからな。だからもう、お前を守ってくれるお父さまはこの世にはいないんだ」
「嘘……だってリュージ様はお父さまを助けてくれたって言ってたはず……」
「おいおい、俺はな、『逃がした』と言ったんだぜ? どうしようもなく理不尽なこの世から、あの世に逃がしてやったんだ」
「そ、そんなのは詭弁です! この嘘つき!」
「だよな、実は俺もそう思っている。だから正直に言うな、お前を騙すために嘘をついた」
「くっ、この、いけしゃあしゃあと……!」
「いやな、ライザハットを逃がした証拠を見せろとか言われると面倒だったんだけどさ。お前が簡単に話を信じてくれる底なしの馬鹿だったから、助かったよ」
「な……っ!」
「ってなわけで、もうライザハット王はこの世にはいない。だからお前ら、この女を思う存分好きにしていいんだぜ? もう誰も
「お父さまが死んだ……お父さまが……つまり、誰もわたくしを守ってくれいない……あ、ああ、ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
絶望して絶叫するフレイヤに、今度こそ男たちは一片の容赦もなく襲いかかった。
「りゅ、リュージ様、お願いです、なんでもしますから! どうか助けて! お願い、わたくしは本当に心を入れ替えます! これからは品行方正に清く正しく生きます! なんでもしますから! だからお願い助けて――」
男たちに蹂躙され穴という穴に欲望を突き立てられるフレイヤが、泣きわめいて助けを求めてくる。
しかしリュージはそれに答えない。
ただ静かに、男たちに蹂躙されるフレイヤを見つめ続けた。
実際のところ、殺した方がてっとり早い。
しかし王女として何不自由なく舐めた人生を送ってきたフレイヤに、本当の意味で自分の罪を償わさせるには、簡単に殺すよりも、こうやって女としての尊厳を奪う方が効果的だとリュージは考えたのだ。
(ま、天国のようなお花畑から、果てることのない地獄へ突き落とされたんだ。死なないにしても、散々に使いつぶされて廃人になるだろうよ)
リュージはそんなことを考えながら数分、尊厳を蹂躙され心を壊されていくフレイヤの様子を眺めていたが、
「チッ、自分でやらせたとはいえ最悪の気分だな。こんな目に姉さんがあわされたかと思うと本気で吐きそうだ」
そう小さく言い残すと、欲望の限りを叩き込まれて泣きわめくフレイヤに背を向けて、次なる目的地であるアストレア王女が幽閉されている北塔へと歩き始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます