妖艶な令嬢に魅了された? その令嬢は変装した私ですよ!
甘い秋空
第1話:第一王子様は、赤いハイヒールを落とした令嬢が好き
「君は地味だな」
また、幼い頃の夢を見ました、、、
◇
「オォォォ!」
私が入場すると、出席者から感嘆のため息が出ました。
深紅のイブニングドレスとオペラグローブ、スリットは深く、胸のふくらみはメロン盛り、銀髪に深紅のルビー、目尻を少し上げて、まつ毛を盛り、ルージュはツヤのある深紅です。
伯爵家主催の夜会が、王宮のホールで開かれています。
来賓として、第一王子、第二王子が出席しており、この豪華メンバーに釣られて、国内各所から令嬢がたくさん集まりました。
その中で、きわだって美しく、妖艶な令嬢、それが私です。
この容姿で、婚約破棄の計画を開始します。
◇
楽団による演奏が始まりました。
まずは、第一王子から誘われて、ダンスを踊りました。
彼には婚約者がいるのに、もう私にメロメロです、これは落とせました。この浮気者が!
次は、第二王子とダンスをしました。
こちらは、意中の女性がいるようで、落とせません。この頑固者が!
もう一度、第一王子からダンスに誘われました。
二度踊れるのは婚約者だけであること、彼も教わっているはずです。
もちろん、踊りました、計画どおりです。
「私は、もっと第一王子様のことが知りたいです」
「俺と婚約しよう、地味な令嬢との婚約はすぐに破棄する」
「素敵、うれしい」
「このまま俺の部屋に来ないか、良い酒があるんだ」
ここが、しおどきです。
「残念ですが、時間になってしまいました」
驚く第一王子に挨拶し、退場します。
第一王子が追いかけて来ます。
「あ、私の靴が!」
隠しておいた赤いハイヒールを落とします。計画どおりです。
第一王子がそれを拾う間に、予定した部屋に隠れます。ここは、王妃教育のため用意されている部屋です。
魔法の鍵がかけられていますが、私は入れます。
部屋のスミには、婚約者のために、転移の魔法陣が描かれています。
深紅のハイヒールで中央に立ち、婚約者だけに教えられた呪文を口にします。
「オープン ザ ゲート」
淡い光に包まれて、私は転移しました。
◇
転移した先、ここは伯爵家の令嬢の部屋です。
誰もいないので、照明は灯されておらず、漏れて差し込む月明かりだけです。
私は、伯爵令嬢ダイヤナーナ、第一王子の婚約者です。
「計画どおりです」
私が出席しないライバル伯爵家の夜会で、以前からの計画を実行しました。
魔道具のチョーカーを首から外し、変装の魔法を解きます。
スッと、私の姿は、いつもの令嬢へと戻りました。
子供っぽい薄桃色のイブニングドレス、黄色味が強い金髪、特徴の無い顔立ち、高等部3年としては平均的な胸、これが本当の自分の容姿です。
「言われたとおり、地味ですね」
私は、王妃教育が厳しくて、オシャレなどする時間がありません。
学園の首席を期待されているため、予習復習を欠かしません。
ショッピングなど息抜きの時間も削っています。
第一王子は、浮気者で、女性と遊び呆けているし、何も努力していないし、、、
王族の地位があれば何でもできると勘違いしているし、、、
グチがあふれ出ます。
オマケに、手を握られて勘違いしたご令嬢から「婚約破棄しろ」との嫌がらせが、私に、、、
ご令息からも「俺の婚約者に手を出させるな」との苦情が、私に、、、
対応に困り果てています。
「これ以上は、付き合いきれません!」
私は、壊れた人生を直す妖精になります!
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