第51話 頑張りすぎたかな

 「見つけましたよ、父さん先代のウサミさんです」

 盾をリレーで配りながら報告する。

 「ほんとかっ、イヤほんとなんだな、すごいな、どこまで見えるんだ?」

 「ん~この世界の半分くらい」

 球の半分は反対側つまり全部だ嘘は行ってない。

 「元気なのかい?」

 「お知り合いですか?」

 「不作の時に相談を受けたよ、山が無ければもう少し送れたんだけどね」


 一番近い領地は山を越えなくてはいけないとは、しかもそれが自分たち以外の人たちの為。

 「話はしたのか?」

 「泣いてました、取られる悲しみを刻んでしまっていたのかと」

 「そうか、そうだな。家に脅迫めいたことを言わなければこんなに拗れなかったのになぁ」

 「それなんですけど家になんか大陸を左右するものがあるそうなんだけど」

 「何か分かります?」

 「いやぁ、俺も色んな意味で、おくてだしなあ」


 スパーーーン!!!。

 いたっ、何だよリリカ、それなんだ!。板で作ったハリセン。いつ作ったんだそんなもの!!。


 え?、せいざ?、えっと、はい。


 散々説教された、途中でリサも加わった、遅れてきたセリアーヌさんも一緒になって、コハクさんまで。

 ウインドウで父さんがへー、ほー、なんと、すごいなと羅列していた。


 一番興味を引いたのがやはり金属、盾を持った途端に兵士たちの嬌声がこだまする。

 褒められるたびに効果が上がる気がする。


 そうだ連絡しないと。

 「ジーニアスの兵がこちらに来ます千人ほど、あと二日で行き会います」

 「先ぶれの挨拶はしているから、護衛かな?」


 気が付いて手を握って前に連れてくる。

 「この子がだれか分かりますか?」

 短い髪を二つ結びにしてもらっている、もじもじしてんな?。

 待てっ!!。

 「初めましてお父様、第十二婚約女人、コハク、十四歳ですっ」

 口を押えるのもいやらしく感じて一瞬ためらってしまった。


 「違うそうじゃ、いや、そっちじゃなくて、もう」

 絶望した顔をするなよ。

 「私が第一のリリカ十二ですっ!」

 先を越されたなリサ姉、違う、まって、ねえぇ!!!。


 しばらく続く自己紹介、団員たちも正装で挨拶、奇麗なマリンカさんやふんわりナツフカさん、子供たちに、マミルちゃんやドーラン君まで。


 そして沈黙、何か言って父さん。

 五秒ほど思案してやっと出た第一声。


 「芸人さん?」


 違うわっ!!。

 混ざれなかったジョイさんが大笑いしてる。

 ぬうう。



 「この子がウジルノウ氏の守り刀、ツキヨミ様です」

 「いやっ!」

 「あの、どうしました?」

 「さっきから様とかさんとか、チャンはどうしたん、ちゃんは!」

 「ペッしますよ」

 「いやあぁあ」

 今朝から時々する遊び、日本語を理解はできないが嫌なものは分かるらしい。

 「あははははは、ひぃ、ひぃ」

 「旦那様!」

 「はは、ひぃ、ふう、う、みんな集まるのが楽しみだよ、我が家は安泰だ、なあ?」

 「御意に」



 父さんたちに二手に分かれて五十人ばかりをウジルノウ家に向かわしてもらう。


 私はコルトバ領地を覗きまくって武器という武器を盗みまくる。うちの団体が到着するのは三日後くらい、それまでにとにかく交戦の意思を剥ぎ取る作戦。


 領区の中心から始める、館の倉庫から、武器屋から、銅などの武器はマジックハンドで放り込む。ウジルノウ邸は最後の予定。

 帯刀している剣を貰いだして騒ぎになる、妖怪、み使い、魔人説まで出る。


 こちらも大変だ膨大な武器を大体だけでも管理しないと後が大変だ。


 原野を広範囲に囲い兵たちに管理してもらう、一度旅人が兵士たちを見て逃げ出したので慌てて菱形グリフォンのバッチを作る。

 無血戦争の話をすると乗ってくれた。


 あちこちの家にも入る、少女を拉致した奴がいたので殴り倒してやった、盗人もいた、手錠足錠をかけて転がしておいた。

 やってできないことは無いと前から分かっている、でも悪も実際に必要、言い訳や日和るわけではなく人間の欲とはそういうもの。


 甲斐田道場にたまに引きこもりの相談が来る、人としては一番正義の生き方だと思うが生き抜くことに適さない、ので強引に入門させた、両親を。

 いろんなタイプの引きこもりがあったが暴力以外でも強い両親が一番効果があった、敵も戦っているのだ、親が戦わずにどうする。


 晩飯だどうしよう、肉か!、飯が無いがパンを少し乾燥させるか、学生時代固くなったパンで食べた記憶がある。

 村にはまだ沢山のパンがあった、それを例の星に少し出して戻す、丁度いい。


 「お手伝いおねがーい」

 「はーい」


 ストーブなんかバーベキュウのままなので綺麗に並べてくれる、村の炭焼き小屋には屑炭が沢山落ちている、多すぎるのは分かっている、パンの注文はしばらく続けるつもりだ。


 焼き肉は炭でないと味が半減すると思っている、肉汁の煙で焙られた肉は最高だと思う、たれは村で売っている、分からないなりに説明するといつの間にかできていた凄い人はどこにでもいる。


 キャベツもモロコシも玉ねぎもある肉も六十キロあるみんなで食べよう兵士さんも来て、仕事してんだから、うまいぞ。


 しばらく食べて騒いでいるとリサに抱きしめられた、リリカも来る、クリームさんが頬を手のひらで温めてくれる、兵士の人が優しく頭をなでてくれた。


 「どう言う事なんです?、この子」

 「被害を抑えようと躍起になったんだ、たぶん」

 「にしたって、飢え死にする孤児だってもう少しましな・・・」


 ああ、リサに謝らないと、またやった、か。

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