第26話 しょうがないから留守番で楽をしよう
翌朝リサの胸の中で目が覚めた、柔らけえ、温ったけえ。
「ううん、プリ、プリ」
後ろにリリカなんというか天国か!。
二人と軽いチュウをして起きる、部屋を出るとクリームさんがトイレの前でお茶してた。
「おはようございます」
気まずい。
「おはよう・・・言ってほしそうに見えるんだけど?」
「そっんな事はないですよ?」
「僕に責任わぁ?」
真っすぐに目を見て言われた。
「な何でしょう」
「マナが見えるよ?」
「そ、それはまた今度、今朝はいそがしので」
あの人の全身から出る包容力って独特だよなぁ男ならエロくしか見えんだろうが子供の神経のせいか包まれたくなる。
急ぎ足で宿車からでる。
「ずっと有るの?」
「あの、はい」
「夕べはキュウキュウだった」
何を言ってんだなにを。
ガラさんとデバスさんが打ち合いをしている、デバスさんが体を避け・る、逃げてる!。
「待て、一寸待て、うおい!、盾を持たせろ、待てってヒィ」
うあっ、目が座ってる。あれから騒動だったもんな、でもクリームさんの治療で治ったな、良い感じだ、膝も内側に良く曲がってる。
「うあーホントにやってるぅ」
クリームさんが宿車から出てきた。
「ひいっ」
「何だ、僕に一言無いの」
ガラリアさんが逃げ出した。
「ふう助かったぜ、なんか剣が凄っごい長くなったみたいに飛んでくるぞ」
「ガラなんで逃げるのさ」
「人間の体があんな風に曲がるなんて思わないからね」
デバスさんも頷いた。
「そうなんだぁ、マナしか見てなかったからなぁ」
私の肩に手を回しながら言う。
「僕は未だ十六だからね」
いやあのぎゅってしないでこの人骨格がいいのに肉付きもよくて柔らかい。
「どういうこと、ねえっ、言ってみ?」
後ろから影が落ちた。
「え、団長っ、何でもないよ、せけんばなし」
すすすと音が聞こえそうに動いてクリームさんが離れていった。
「君は、いや昨日どう思ったの」
「割り切れない数字をずっと考えてましたから、でも母さんに女は三十からって教わって確かにと思いましたね。」
「確かにって!君セイラン様と、え、まさか」
「にぃ」
不気味に呟いて手をワキワキさせてみた。
「いや、え、二つ上だから、え、あり?」
「だけど十五になったら、さすがに」
団長が独り言を始めたので顔を洗ってリリカとリサと型を始める。
★
「セリアーヌさんここでいいですよぉ」
セリアーヌさんにエネルギーを使わそうと作ってあげた自転車でまさかの大爆走中、聞こえたかな。
風使いは呪文を必要としない、子供の時から常に身の回りにあるせいかも知れない、そして使用するマナは常に体力と均衡を保つ。
つまりは走ってるのと変わりない訳で人によっては半日ぐらい使い続ける。
22インチマウンテンバイクにして背中の盾で風を受け五段ギアをフル活用して走る、走る間違いなく60キロは出ている。
タイヤの代わりにギザギザリングを無数に並べて丸くして代用、思ったより衝撃吸収がよくサスは付けなかった。
「ジャジャジャジャーンシュウウンッ」
ザザーって感じで止まった。最初のウソダァ、ゼッテエこける、立つのが可笑しい!!、は何処へ行ったんだ。
「これに付けれないか?」
「やめてあげてください、ナイトくんが凄い凹んでますよ」
「ぶるるる」
団長専用なのに馬車しか引いていないからか明らかに機嫌が悪い。
ここはユーラから北東十五キロくらいの平原、今日の移動はここまでにして盗賊の報告と遺体などの引き渡しをしに霊柩馬車でセリちゃんとクリームさんで行ってもらう、リリカは一緒に行って教会でスキルを見て貰う。
「はいじゃあ金貨十枚、お願いね、殴っちゃだめだよ?」
「わっかりましたー、から・」
「プリン、ちゃんと作っとくよ」
「いってきます」
「お気を付けてー」
「ぶるるる、ぶしぃ」
がガガガがと走り出すナイトくん、ちょっと気になってるらしいライナちゃんと二頭立てにしたけどすごい勢いで加速していく、自転車と張り合ってんのか。
「それじゃあ野営の準備始めるよー」
「は~い」
今朝からこの返事にマリンカさん、ナツフカさん、ユリシアさんが加わっている、気に入ったみたいだ。
宿車を引き出し屋台を置いて馬車を置く、宿車の中からテーブルや椅子ストーブなどを出して設置する、今は三時頃か餅でも焼くか。
「穴をあけ終わったよ」
「ありがと、それじゃあ」
宿車のトイレを変えた、真下の穴は設置がしにくいので外に穴をあけトイレの方をスライドさせる、トイレの監視所も広くなって良い感じ、因みに中身半分はどこぞの鳥糞島に同居してもらっている。
何時ものコの字配置で設営完了したのでジュース用果物を狩り、紅茶を用意し餅を出して後を皆に任すことにした。
「リサ姉お願い」
「はい、三日目ですね。」
「うん、あっちに居るから」
そう言って馬車と屋台の間を指さす。
何時もはここにお風呂を作るんだけど今日は待ってもらっている。
パーテイションでふさいでと。
ウインドウを開けると見慣れた背負子が見えるマーカーはこれに付けている、少し音を聞いて確認してから周りを見る、梨かな、果物を食べながらお茶を飲んでいる、背負子もベンチ化してストーブも出している。
「こんにちは~今日は此処までですか?」
「昨日の嵐で疲れてね、無理する理由もないし、いやぁ、早目に会えてよかったよ」
「なにか?」
「バニラの友達がマルイルに居るらしいんだけど家もボロイし一人身だし、誕生日が近いらしくてさ何とかなるんじゃないかと思ったんだ」
今どこだ此処、コバートロンじゃないか!三千キロか四千キロか。
どんなに急いでも一か月はかかる、あの顔、鎌かけてんな。
「うーん、お話しできるようにはするよ?」
「ふふ君いつかすごい名前があるって嫌がらせしたろ」
「ああウジさんね」
「ホントなぜか鳥肌立ったよな、まあそいつの英雄譚が有るんだがどうだい?」
知りたいぞ、何だそれ、くー、今回の報酬はあれかー。
「あんなのこの世界の物じゃ無いからね何が起こるか分からないんだから」
「その口ぶりだと何回かしてんだな」
「はいはいしましたよ、で、どうするの?、今すぐ?。」
「いや先に身綺麗にしてから行きたいらしい、今の生活の説明もしたいらしくてさ、それと栄養のあるもの売ってくれないか」
「そんなの気にするの?」
「さすがに厚かましいだろ」
「今の言葉だけで報酬になるよ」
「ん?」
「厚かましいなんて言葉皆知らないから」
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