第13話 留め人のローデル
商会の馬車を見送って朝の修練を終えて結局は町に迎えに行く事になった。
町衛士団当番ほぼ全員倒れるように馬車の周りに転がっている、団長さんまで。
前の晩からさっきまで二台の馬車でレースをしていたのだ、馬なしで。
誰が始めたか知らないがペダルを漕いで、馬を繋ぐ棒を左右に動かせば舵が切れることに気付いたみたいで今日だけの娯楽だ!!見たいな乗りでとっかえひっかえに勝負をしていた。
最優秀賞は団長さん、高笑いしながら風魔法を使ってドーピングしていた、夕べ夢に出た、独り者の理由って本とは・。
まあ昔、自転車競技の選手が一番の敵は坂ではなく風だと言っていたのを思い出してこう言う事かと納得した。
ゆっくり歩きながらさて今日はローデルさんとの情報交換の日だけど・・あ居た、なんと女性といる。
「おいっどういうことだ!」
「オムルくん?」
「気にしないで姉、友達との交信の日なのよ」
「向こうの声は聞こえませんよ」
「私は一度聞いたけど留め人らしいのよ」
「ええっ、森で会いたくない人ダントツ一位の人じゃないですか」
「そうなの?、女の人もいるよ」
「それはそれで怖いのよ」
横の声も気になるがこちらもちょっと面倒だ、二年一寸前ウインドウで森を巡回していた時に懐かしい曲の口笛が聞こえて思わず声をかけた。
びっくりして私を探す前かがみの姿勢が生前二か月ほどいた門下生を思い出させた。
道場にはたまに問題児が入門する、彼は刑事さんに連れてこられた獣の目をしたそんな子だった。
私が八十ぐらいのときだった国防費を貰っている事もあって当然受け入れた分けだけど普通に黒帯大学生に負けて落ち込んでいた、まあ騙し、武器、反則技すべて使っての結果だったが予想に反して陰に回ることはなかった。
聞いていた経歴から想像できなかったが体力のほとんどを道場に落としていくのでわりと安心してみていた、そんなある日に唐突に質問された。
「先生、人を殺してはいけない理由は何ですか」
これからと道場に足を踏み入れた途端の質問に面食らったけれど私も仕事柄禁忌はいくつか犯している質問の意味は理解できた、ただ馬鹿な私は当たり前の返事しかできなかった。
「家訓だよ」
「え?」
「ああすまない、その・・下手な話になるがいいか?」
「はい」
「家族がいて兄弟げんかがあってそれを諫める父親がいる父親は基本嫌なことが起きないように躾けようとする」
「それは法律の起源で理由ではないですよ」
その時の彼は来た時の目が戻っていて覚悟のようなものまでみえた。
「いやそのなんだ私にも家族がいるんでな」
その時自分がどんな目をしていたか考えたくない、ここが道場で良かったと一瞬考えたことは確かだ。彼の反応は早かった。
一度目を見開いたかと思ったら脱兎のごとくをまさに地で行く速さで逃げ出した。
追ったりはしないここは一応隊の管轄なので門下生は常に監視される向こう十年は大丈夫だと思っていた、事実たまに聞く報告もとあるチンピラ上がりが起こした町工場の家によく出入りする程度のことだった。
半年後彼は死んだ。
あり得ない、在りえない、有りえない仮にも家で二か月体力を使い切って修行をしたんだただのジジババに包丁で刺されるなんて絶対にない。警察にありったけのコネをねじ込んで調べた。
毒親で有名な夫婦であった裏の世界にもたくさんのパイプがあるらしい。
夫婦には障害などの前科があったとしても普通じゃない判決が出るだろうことを知った、半年かけて念入りに憎まれるように立ち回り自分に保険をかけ周りに分かりやすい殺意を理解させて。
私のせいか。
葬儀に参列に行った、お母さんと目が合ったら深々とお辞儀をされた、私も腰よ折れろとばかりに頭を下げて、
「申し訳・・」
「いけませんっ」
言葉をさえぎられて思わず顔を上げる。
「私も子供じゃありません、死んだ夫と人がどういうものかも見てきました。あの子の最後の手紙には先生にありがとうと伝えてとありました、あの二か月があればなんでも耐えられると・・うぅ」
崩れるお母さんを抱きとめる女性がいた、彼は一人っ子で親類にも若い女性はいないはず。
「これからは二人で?」
若い女性はお腹を撫でながら軽く頭をふった。
家の道場の基本思考は生きているだけで前を向いてるそれ以上を求めるのはいじめと同じ、なので全て計算道理じゃないはず人が分からなくなった彼が最後に何を考えたのかはわからない。
帰り道商店街を横切ると夕方五時の時報代わりの曲が流れてきたあいつがたった一度道場を出るときに口笛を吹いていた曲、私と同じくらい馬鹿なあいつは曲名に惹かれたのかもしれない。
エリーゼのために
この曲をこの世界で聞いて私からぐいぐい迫った結果彼と契約を交わした、残念ながら特別な記憶は無かった、ただこの曲と時々みなと違う名詞を使うことがあると言っていた。
「約束が違う、外に連れてくる人は作らないって話だったろう」
「昨日した」
「いっ!」
「五回」
わお一昨日と一緒だ、違う。
「大丈夫素敵な女性だ」
「はーー、わかりましたよ留め人のあなたが言うんだから大丈夫でしょう、それで今日は?」
「ベットとボート」
「大きく出ましたね対価は?」
「奴隷が禁止になった理由を彼女が知っていた」
「OKです今晩お湯と一緒に」
「わかった」
「片言ですね」
「横で見てる」
「じゃあ夜に自己紹介しましょうか」
「ああ、じゃあ夜に」
「はい、また」
よしそれじゃあスワンボートなんかどうかなリクラインイングさせれば寝れるし、ダメか彼は同じ所はめったに通らない全部持って移動する生粋のマナ治療者だからなぁ、親御さんは結構な料金を貰って、いや預かっているし。
今は幅五十センチ長さ90センチの風呂に荷物を詰め込んでコの字に折りたたんだベッドにはめて背負いこんでの移動だったはず、風呂を屋根にしてうまいこと寝床にしていたよな、確か自分の体重までの重さは無視できるんだったか。
左手をつつかれたので左を見るとリサが聞いてきた。
「あのう、留め人って大丈夫なんですか?」
「ああスキルのこと?」
「はい」
留め人とは留まれない人のこと、昔は発現すれば寿命を迎えると思われていたが人口の少ない土地ほど長生きできていることが知られマナリペアと言うスキルが発動したら森に移住するようになった、今では沢山のマナの渦では生きられないと理解されている。
人となりも色でわかると言っていたこのスキル悪用すればライフドレインみたいなことが出来るようで、昔の犯罪者に人のマナを身動き出来なくなるまで吸い取って色々とあったらしい。
「犯罪に巻き込まれたら相手がどんな人でも一緒じゃない?」
「逃げれないんだって、意識を持ったまま何もできなくなるんだって」
まあ日本でいう都市伝説だね。。ローデルと話していて天秤を持つ像が思い浮かんで私が名付けた物に”理の天秤”がある例えば体重以上の物をを持つとシッカリと重さが感じられるらしいパーセントではなくダイレクトに、マナをいじくるとその反動が必ずあるんだそうだ。
「今では留め人が多い森ほど災害が少ないと言われて領主に雇われたりしている、塔守の移動の助けなんかにも重宝されているよ」
「え、そう?」
「まあ人と接点のない人には危ない人も居るけど、今晩通信するから会ってみてよ」
「はい。」
気は進まないかまあ徐々にね。
「オーケーて何でしょう」
「さあ、時々わからないこと言い合ってるね」
「まあっ!!」
ちがうからな、変なこと考えるなよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます