第4話

「もう、それはもう、親にも言えない和尚さんの持っていた春本の様子をひそひそ声で語ると火がよく燃える燃える!」

物理的に。

「しまいには近くに住む坊ちゃんとがさつな大将が、茂みでしていたことなんかを、こう、高い声で切れ切れ色っぽく言ったらですね。センシティブだけどスレスレで、それでいて君も神だけど茂みは後光が差してたの?!みたでしょ?とかもう。

これ以上はお嫁に行けないから言えません!言い方も和尚がこっそり夜鳴かせていた女の人のいけない声の物真似です!私の名前がわからないように偽名たくさん使いますから!」

炎上。

かまど。

だいさんじ。

だいもんじ。

物理的に。

「あー、おこげ、あんなに黒くなるなんて危ないじゃないか、って村の人に怒られたなあ!」

赤い着物の少女は伸びでもしそうな、ほんのり何かを思い出すような。

「ま!夢でこのたまゆらの景色は見てたので!異世界まじやば!」

玉響。美しい響きではある。たしか写真に映る光の玉のようなものではないか。誰に教わったんだ。しかし。引っかかるのは。チュウがキャラも忘れて聞く。

「その、なんか事情を説明してくれた神的な人は誰?」

「神ですよ。異世界限定神」

周囲のレイヤーやオタク、カメラマン達は赤い着物のメガネっこ異世界人?から。

 なぜか目を逸らさない。

「あー、それにしてもまさか。わたしがいた世界は推しが二次創作で確実に通る道を全ルート網羅する頭のおかしくなるような世界だったとは!」

 全員が引いた。

 なにそれ。簡単に、気軽に口にしてはならないけれど地雷、という言葉がある。踏み抜く、なんて言葉も使ってしまうほど。本来の地雷と踏み抜くはとても悲惨で手足が吹き飛んだり、命を失ったり。地雷探知犬が、パートナーが命懸けで探知してくれているものだ。

 それを、オタクはいくらなんでも、たとえばなしでも使ってしまう。

 推しカプと解釈違いというか。戦争というか。

地雷踏んだ。

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