相場に集う愉快なトレーダーたち

フルレバで勝負したばっかりに

　トレードで大きな利益を上げるためにフルレバレッジで勝負する人たちがいる。株であれば，だいたい資金の３倍のレバレッジをかけることができるが，先物やオプション，FXなどであれば，それ以上のレバレッジをきかせられる。

　レバレッジをきかせると，てこの原理で少ない資金でも大きな利益を上げられる可能性があるとともに，逆に大きな損失を出す可能性もまたある。

　メディアで数百万円の手元資金をたった数ヵ月で数億円に増やしたという敏腕トレーダーの特集をするのをみることがあるが，だいたい短期間で手元資金を大きく増やした人の話を聞くと，その多くがフルレバで勝負していることが多い。フルレバで勝負して勝ち続ければ，当然資金は大きく増えていく。

　しかし，初めてのトレードからフルレバで勝負して，その１回目のトレードで負けたら，資金を大きく失うことになるし，借金を背負う可能性だってある。短期間で大きな利益を出したと語る人は，トレードを始めたときからトレードがめちゃくちゃ上手かったのだろうか。

　もちろん，確率的にはフルレバで勝負し続けても勝ち残る可能性はある。ただ，その確率はかなり低いと言わざるを得ない。

　相場にはフルレバで勝負して無念にも散っていった多くのトレーダーの存在があり，しかも，そのようなトレーダーはなかなかメディアには登場しない。

　フルレバで勝負して相場から退場した星の数ほどのトレーダーの存在を知っておくべきだし，メディアに登場する敏腕トレーダーは相場にはほんの一握りしか存在していないということも知っておくべきである。

　かくいう私も昔フルレバで勝負しにいって，なぜかその１回目の勝負でめちゃくちゃ負けて，一度相場を退場する羽目になった。

　相場って，どうしてかくも非情なのか。