世話焼きの兄と気弱な弟、夜の散歩に出たふたりのお話。
仲良し兄弟を見舞った突然の悲劇を描いた、現代ものの物語です。
見た目から性格まで、もう全然違う兄と弟。それだけにとても仲が良いというか、決して互いを雑に扱ったりしないところが印象的。
憎まれ口を叩き合う感じではなく、ストレートに想い慕う姿がもう最高でした。
そりゃこんな弟ならお兄ちゃんはそうなるし、弟だってお兄ちゃんを頼るよね……素敵……。
しかしなによりの魅力はやはり物語というか、読み進めることで明らかになる、彼らの様々な側面そのもの。
もっというなら、それを読み進めていくときの心地よさ。ネタバレになっちゃうので詳しくは触れませんけど、「作者の意図通りに手のひらで転がされている」という実感が、もう本当に気持ちよかったです。
もちろん、タイトル通りの危険な暴力や、またホラーらしい緊迫感も魅力のうち。
なによりそれらすべてが最終的に、彼ら兄弟の魅力に繋がってくるところがたまらないお話でした。