なぁにこれ?

優雨の部屋は昔のようにぬいぐるみで埋もれていた。足の踏み場もないほどに。


「片付けろよ、間違って踏んじゃったら可哀想だろ?」


「そうやってぬいぐるみにもちゃんと心入れてるの好きだよ、でも押入れにこの子達入れるのも可哀想だと思わない?心が傷まない?」


「・・・それならせめて床が見えるようにしてくれ」


流石にこれは置きすぎでバランスを崩しそうになったぞ。そういえば優雨は昔っから物が捨てられないやつだったな。ものを大切にするのはいいことだがこれでは部屋にいつか入れなくなる。


「床なら見えてるじゃんほらそこ」


指を指しているところを見るとたしかに床は見えるが1センチくらいしか見えない。違う違うそうじゃない。


「せめて座れるくらいには片付けろよ」


「この子達はどうしたらいいと思う?」


・・・そっちの問題があった。こんなに大量にあるものをどこに収納すればいいのだろうか?押入れ?入るわけがない


「・・・」


「どうしたらいいと思うかな?」


「・・・もうそのままでいいよ」


俺は諦めた、人間諦めることも大切だ。とりあえず座れる場所を確保する。


「こっちおいで、ここなら座れるよ」


ちょいちょいと優雨はベッドの方に座るように言った。お言葉に甘えて座らせてもらおう。


「どうしたんだ?急に俺を優雨の家に入れるだなんて珍しいじゃないか?」


「彼女だからね!こういうことは今のうちに一杯やっておいたほうがいいからね!」


『こういうこと』とはどういうことなんだろうか?今回みたいに家に入れさせること以外に何があるんだろうか。隣をちらっと見てみると優雨の顔はゆるくなっていたり、「えへへ・・・」ってかすかに笑っているのか?なんだかちょっと怖くなった。


「優雨さーん?大丈夫ですかー?」


「私に対して敬語は駄目!崩してくれないと私は何も答えない!」


「優雨ー?大丈夫かー?」


「大丈夫だよ〜拓人〜」


そんなことをしていたら優雨はまたも俺に抱きついてきた。ガッチリとだいしゅきホールドというものをされている。確かにハグにはストレス発散の効果があるかもしれない。


「・・・いつまでこうしているつもりなんだ?」


「ずっと・・・かな?」


改めて見るとコイツかなりかわいい顔してるよな。そんな子に抱きしめられてるのは嬉しいが昔からの幼馴染だからなんか違う気がする、うんそう思う。


顔は可愛いが生活力がない女の子は漫画や小説で見るのはいいが実際にいるとちょっと嫌に感じてしまう、でもこのこと言うとなんかやばい気がするから心の中に入れておこうと思う。


「うへへ・・・拓人の匂い〜、すぅーー・・・はふぅ〜〜」


なんとなく女子の気持ちがわかった気がする、たしかに思いっきり匂い嗅がれるのはとっても恥ずかしいし嫌悪になる。女子の皆さんお疲れさまですそして、すみません。


まあ気にしても仕方ない恋人だし一応こんぐらい他のカップルもやっているだろう。きっとそうだ、それ以外認めない俺は。


「拓人もどお〜?」


「自分自身の匂い嗅ぐのか?そんなことしても全然面白くもないぞ?」


「そうじゃないよ、ほれ、こっちにおいで〜」


そう言われたので優雨の方に寄ってみると彼女は抱きついてきた。


「どうかな?私の匂いは?男の子はこういうのが好きなんでしょ?ほれほれ〜」


「・・・や、やめろ」


「少しだけ間があったけど?」


「そ、そんなことないが・・・?」


うん、仕方ない仕方ない。意図して嗅いでいるのではなくそっちが来ているので俺は悪くない。


「そ、そろそろ帰らせてもらうよ」


「え」


「なんでそんな悲しそうな顔をしてるんだ?」


「だ、だって今日は親がいないし〜?」


「それがどうしたんだ?」


「それが・・・!?」


何故かショックを受けているのだが泊まることなんて論外だ。ふたりともいい年だし・・・このセリフもうちょっと歳をとってから言うものではないだろうか?


「親がいないんだよ!?それでも帰るの!?」


「なんで親がいないだけでそんなに驚くんだ?まるで小学生が夜ふかしするときみたいじゃないか?」


俺は彼女の家を後にした。


あ と が き

作者です。少し忙しいのとまだ話が整理できていないのでちょっと遅れるかもしれません!ごめんなさい!あと週間で200位まで行けました!ありがとうございます!これからも応援よろしくお願いします。


作者


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