酔っぱらいたちの襲撃

むーが

第1話 走り方が独特な酔っぱらいたち

 澄んだ青から暖か過ぎる日差しで頭が熱せられる。


 暑い。帽子、被ってくれば良かった。


 うん?


 前の方に千鳥足で済まない位のぐにゃぐにゃな歩き方の男の人がいる。


 それ以上はバランス崩すって!


 やっぱり転んだ。


 明らかに変だ。近付かないでおこう。あんな感じになるまで酒を飲んだ人とは関わりたくない。


 来た道を引き返そうとした所で小枝を踏んだ。


 こういう時に限って踏むよね。


 前の人が体を反らしてこっちを見る。


 わー、体柔らかいんだね! ってふざけている場合じゃない。


 なんかこっちに走って来てる!? あっ、これはヤバいやつだよ!


 とにかく走る。死ぬ気で駆け抜ける。


 あの酔っぱらいから離れないと。


 前から男の人が来た。


 この人にも伝えないと、あの酔っぱらいに巻き込まれてしまう!



「この先に行かない方が良いですよ!」

「は? 何言ってるんだ?」



酔っぱらいに追い付かれるから説明している暇はない。だからごめんね!



「では私は忠告したので。その後は知りません」



男が、ごちゃごちゃ何かを言っているが気にする余裕はない。


 酔っぱらいが来る前にどこかに逃げなきゃ。


 しばらくして悲鳴が聞こえる。さっきの人の声だろうか。


 ちらりと後ろを見た。酔っぱらいが、さっきの人を押し倒している。


 なるほど。よし、見なかった事にしよう。


 私はちゃんと忠告したし、後は自己責任だよね。


 近付いた人を襲っているなら離れておかないと危ないかもしれない。


 さっさと逃げよう。そうしよう。


 次々に人と会っては忠告するのを何回か繰り返す。走り続けていると体力が無くなって立ち止まってしまう。


 膝に手をつき息を整える。


 周りを見渡すと、あの酔っぱらいはいなさそうだ。


 安心して一息つく。


 でも、これからどうしようかな。


 本を買いに行きたかったんだけど、酔っぱらいがいそうな道は通りたくない。


 仕方ない遠回りして行こう。


 交差点を曲がると人がぞろぞろいる。


 あれ? さっきの人たちだ。無事だったのかな? ……でも様子が変な気がする?


 え? なんで、こっちに走って来るの?


 しかも四足歩行になって走っていたり、逆立ちして走って(?)いたりするよ? ……走り方が独特すぎだって!


 背筋がゾワッとした。急いで走って逃げる。


 どういう事? もしかして、この人たちも酔っぱらいの仲間になった?


 あの酔っぱらい、どれだけ酒飲ませたんだよ!


 後ろをチラッと見ると、まだ追いかけてくる。


 もう嫌! 助けて! 走り方が独特な変態たちに襲われる!


 さっき走ったばかりだから、もう体力が持たなくなってきた。もうダメかな……。


 私は走れなくなり膝に手をつく。


 足音がすぐ後ろまで迫っていた。

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