前のエピソード――番外編ゲームだから歩けるあたし

　名門威瀬家の次女威瀬桑名は普通の人間である。名門威瀬家の次女威瀬桑名は驚くほどにマイペースで名門の面を汚している。名門威瀬家の次女伊勢桑名は庶民の生活に憧れていて価値観は普通である。

　こんな噂を書かれて生活をしているとどうしても外に出たくなくなります。髪をボサボサにしてパジャマを着て外に出たいときだってあるのに、そんなことをしてしまったら威瀬家の～と噂にされるだけです。成人して独立しても威瀬家に産まれたということを背負って生きていかないといけないなんて、可哀想だと思いませんか？

　実はどうでもいいんですよね。お姉様が家督を継いでくれるはずだし、私は自由に生きて行くのを選んでので何も背負ってません。こないだなんて寝起きで24時間営業の店に買い物へ行ったくらいです。え？　そんなことをしたら怒られる可能性？　そんなこと知りませんし関係ありません。私は普通の暮らしに憧れているんです。

「これが私の求めていた普通の生活！　だから誰もこの野望は阻止できません」

「はぁー別に止める気はないけど、寝起きで買い物に行くとか、ベランダから大声を出して私を呼んだりとか迷惑をかけるのは辞めたほうがいいわよ？　それに鼻をふんふん鳴らしながら、興奮しながら言ってるのは少し気持ち悪いわよ」

　隣にいる棘の生えてる女優さんはチクチクと精神をえぐってきましたが、この生活をしている限り私は自由です！