番外編ゲームだから歩けるあたし

 あたし高野ミリアには足がない。だからといって被害者だとも思ってないし、同情されるのが一番ムカつく。あたしがあたしだと気づいたときには歩くことが出来なかった。年齢が上がっていくにつれて、心配したふりをする偽善者も増えたし、足がないと虐めてくる奴も増えた。


 ある日の下校時間だった。車いす専用のエレベーターを使って遊んでいる奴がいた。あたしは譲ってほしいと言ったが黙れと言われ車いすを転がるくらいの強さで蹴られて転倒した。もちろん自分で立ち上がることもできなきゃ、助けを呼ぶこともできない。足がないだけでこんなに不自由な生活が続くなら死んでしまったほうがマシだと思った。そんな負の気持ちを抱えて絶望していると走って駆け寄ってきた彼女に助けられた。


「大丈夫? 車いすを持ち上げて治すから少し待ってね。よし、これで大丈夫。次はあなたを起こすから肩に手をやってくれるかな? よし、じゃあ持ち上げるから力を抜いてくれるかな。痛いところがあったら言ってね」

「ありがとう」

「困っていたら助けるのは当然のことかな。だからそんなにお礼を言わなくても大丈夫。もっと話していたいけどこれから習い事なのまた明日話そうね」


 髪をゆらゆらと風に煽られながら彼女は走っていく、その姿を見て羨ましかった。これが私とマインとの出会いだ。


 その出会った日からマインは車いすを押してくれて色々な場所に連れて行ってくれた。今までの高校2年間は暗黒のように真っ暗で何もなかったけど最後の1年間は始めて光が見えて人生で一番楽しい時間だった。そんな時間もあっという間に過ぎてマインとの時間も終わると思った。高校の卒業式が終わって大学までの春休みの事だ。


「ミリアこれあげるから一緒に始めてくれないかな」

「これはVRヘッドギア? 何かゲームでも始めるの?」

「そうよ! タイトルはまだ先だから私のやってるゲームを教えますわー!」

「マイン?」


 どうやらマインはお嬢様に憧れていてロールプレイをやるべくVRMMOと呼ばれるジャンルのゲームをやってるということだ。

 

 そして私はCAOまで修行して聖女のジョブを引いてマインと楽しく遊んでいく。

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