クラフター大会を満喫する4
気を取り直して私も一緒に活躍しなくてはなりません! このままじゃメイジにキャリーされたただのクラフターなんてあだ名がついてしまいそうです。装備だけのクラフターなのは認めますが、負のあだ名がつくことだけが回避したいです。
「そろそろ塔に着くけど何をあたふたしてるのかしら? 周りの敵にそんな様子を見られたら確実に襲ってくるわよ? 一時間の安全な時間帯に獲物を見分けてくるチームだってあるはずよ。だから少しは落ち着きなさい」
「はい、ただこのまま活躍できなかったら、キャリークラフターなんて言われそうでそれを考えてたらじっとすることができなくなってしまってごめんなさい」
「別に謝ることじゃないわよ。何かあったらすぐに言うのよ? 悩みくらいは聞いてあげるわよ」
心の奥がズキューンと打たれたようなときめきはきっとこれが最初で最後になるはずです。さっきから私を何を思ってるんでしょうか。はたまた何をしてるんでしょうか。えーとその! どうにでもなってしまえばいいと思います。
また一人でパニックになりかけているうちに目的地へ着きました。上を見上げても天辺付近は見えなくて、マップ中心の木すら下に見えそうなくらい大きくて、誰も寄せ付けない緑色の外壁はゾンビが中に住んでいるような不気味さも感じます。骸骨にトロールときて次に何が来ても覚悟はできています。
CAOは五感があるせいで目の前で起きてることがリアルだと勘違いするときがあるせいで目の前にいるモンスター達の気持ち悪さも体験するときがあります。そんなところも評価が高いみたいですが、私は少しだけ苦手です。
「それじゃ扉を開けるわよ。何が出てくるか分からないから刀は抜いておいて、今度はクワナがメインで戦うことにするわね!」
「え、えどういうことですか。ちょっと待ってください。まだ心の準備が出来ていません。あーちょっと話を聞いてください。中にいるのはゾンビだったら逃げますよ? あーあーーあちょっとちひろおーーーー」
『腐敗した騎士が現れた』
『腐敗した騎士はクワナに毒液を吐いた』
『腐敗した騎士はクワナに胃液を吐いた』
『クワナが腐敗の騎士を倒しました』
何でですかー! まだ何もやってないのに何で敵が勝手に死んでいくんですか! きっとこれは夢です。夢を見ています。でもほっぺをつねると痛いです。じゃあ何で敵は死んだんですか?! 自滅ですか? そんなことあっていいんですか? ゲームでもそんな不可解な現象があったら怖いじゃないですか!
もう帰りたい。
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