∞10【《無限チュートリアル》特訓】

≈≈≈


≈≈≈


 アゾロは『メニュー画面』の中にある【チュートリアル】を選択し実行する。

 するとメニュー画面の中にさらにいくつもの項目がズラリと現れた。


【VS野ウサギ】

【VSシカ】

【VSイノシシ】

【VSクマ】

【VSエミル】

【VS母】

【VS父】

 ………


 アゾロは【VSイノシシ】という項目を選択して実行し、自分の目を閉じた。

 その瞬間アゾロの意識は別の空間に飛ばされた。



 鬱蒼と草木の生い茂る『森の中』の景色。

 しかし、これはアゾロの『心の中』だけに映る景色である。アゾロの体は相変わらず丘の上の大きな樹の傍らに立っている。だから、今アゾロが見ている『森の中』の景色はアゾロの心の中の『幻』だ。

 アゾロが過去に体験した景色を心の中だけに再現しているのだ。

 このアゾロにだけ見える景色のことを、『バーチャルリアリティ』と夢の中のおっさんは呼んでいた。

 

 要は『幻覚』なのだろう。

 ただ『ほんとに痛い幻覚』ではあるが。


 『幻覚』の森の中には一頭の大きな黒いイノシシがいた。イノシシはその特徴的な『牙』を剥き出しにして、真っ黒な『体毛』を逆立ててアゾロを睨みながら威嚇している。


 学名、タイリクオオイノシシ。

 鋏状に交差している大きくせり出した下顎の牙と上顎の牙。全身を覆っている真っ黒くて硬い毛皮と、分厚い皮膚と脂肪の層。その下に隠された一日に数里を駆ける野生の筋力………

 ど田舎のさらに辺境であるディオアンブラ領に出没するイノシシは、大きなものになると『大人3人〜5人分』の目方がある。

 女性はおろか大人の男でも、もし森で遭遇したら『イノシシを刺激せず必ず逃げる』のが正解。


しかしアゾロは、


「……まずは肩慣らしからね。ギッタンギッタンにしてシチューの具にしてやるわ」


 アゾロは下品に舌なめずりしながら、『幻覚』のイノシシに語りかけた。


「んじゃ!開始!」



⊕⊕⊕

…start.

…痛覚を遮断して戦いますか?【YES/NO】

「【NO】!」

…本人による承諾を確認 

…チュートリアルを開始します


≈≈≈

黒いイノシシ、の突進

…バックアタック

「ほいっと」

…回避に成功!

…アゾロのHP残 182/182

…黒いイノシシのHP残 250/250


黒いイノシシ、の前足の蹄と噛みつき

「ほぉりゃッ!」

…カウンターに成功!…横っ面への踵蹴り

…『脳震盪』の追加効果発生!

…アゾロのHP残 182/182

…黒いイノシシのHP残 190/250


黒いイノシシ、『脳震盪』中

「体勢が崩れとるわ!」

…攻撃に成功!…横っ面への踵蹴り

…クリティカル発生!

…アゾロのHP残 182/182

…黒いイノシシのHP残 100/250


黒いイノシシ、は怯えている

「往生せいやぁ!」

…攻撃に成功!…横っ面への踵蹴り連打

…クリティカル発生!

…アゾロのHP残 182/182

…黒いイノシシのHP残 10/250


黒いイノシシ、は立ち上がり仲間になりたそうにこっちを見ている

「甘えんなぁ!」

…攻撃に成功!…尻への踵蹴り

…オーバーキル発生!!

…アゾロのHP残 182/182

…黒いイノシシのHP残 0/250

…黒いイノシシを倒した!

≈≈≈


…チュートリアルを終了します

…戦闘データを記録します

…お疲れ様でした

…end.

⊕⊕⊕




…To Be Continued.

⇒Next Episode.

≈≈≈


≈≈≈

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