∞3【『異世界モノ』ってなんやねん】
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「……ッなんでやねん!」
このところ毎晩見る、おかしな夢にうなされながらアゾロは目覚めた。
思わず、『関西弁』でツッコミを入れる。
この『ツッコミ』という言葉も、以前【夢】にみて覚えたものだ。
「……『会社』ってなんやねん!『日本』ってなんやねん!『サラリーマン』ってなんやねん!『アパート』ってなんやねん!『ネットカフェ』ってなんやねん!『マンガ』ってなんやねん!
『異世界モノ』ってなんやねんッ……!!」
布団からガバァと跳ね起きながら、一気に言い切り、アゾロはハァハァと荒い息をつく。自分で
わたしに何を伝えたいんだ、この夢は!
しかし、『ネットカフェ』や『マンガ』という言葉には、なにか胸の奥をキュッ…とさせる響きがある。なんだかひどく懐かしいような。
かつて、それに心を救われたことがあるような。
それに対して、『会社』や『サラリーマン』という言葉には、口にするだけでイライラさせるような響きを感じる。
分からないが古代の呪文かなんかだろうか?
それに。
「……『異世界モノ』ってなんやねん」
アゾロは、ベッドの上で両膝を抱えて小声でつぶやく。
なぜだか、この言葉に無性に惹きつけられる。
『異世界』。
ここではないどこか。
なぜ人は、行ったことのない場所に胸を衝くような郷愁を感じるのだろうか。
「異世界……」
言葉に出してみる。
自分にとっての異世界は『あっち』なのだろうか。
それとも『こっち』なのだろうか?
『こっちの世界』に居場所を見出だせない者はどうすればいいのだろう。
どう生きればいいのだろう……。
考えても、アゾロにはそれは分からない。
……しかし、それはともかく。
「ッ!……なんでっ、わたしがっ、どっかの知らんおっさんの独白でっ、毎朝起きなっあかんっねんっ!」
羽根枕を掛け布団の上に叩きつけながら、アゾロは自分の夢見の悪さを締めくくった。
朝からよくこれだけ声が出るものだ、と他人事のように考えている自分が、自分の心の何処かにいる。
アゾロの心のどこかでは、『こんなエセ関西弁話したら関西の人に失礼だ……』という申し訳ない気持ちがあった。
それも訳わからん。
『関西人』て誰やねん。どこおんねん!
…To Be Continued.
⇒Next Episode.
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