(四)-3
「渋沢さん、俺たち、上京したときには『金の卵』って呼ばれてたじゃないですか。なのになんなんですか、今になって死ねって。散々俺たちのことを使い倒しておいて、死ねって。なんなんですかね」
渋沢は木のしゃもじを鍋に置いた。そして自分の分のおじやを口に運んだ。
そして「玉子を入れるの、忘れていたな」と一言ため息交じりに言うと、こたつの上にあごを乗せて眠そうなジト目になっている謙吉の方を向いた。
「謙吉、知ってるか。鶏は自分が産んだ卵は食べないそうだ。そりゃあ、自分が産んだ子どもを、食うわけないよな、親だったら。でも、卵を食う者はいる。それは産む者じゃない、別のヤツだ」
(続く)
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