終電ギリギリの時間まで飲み明かす、とある先輩後輩コンビのお話。
後輩の語りかけの形で綴られた、現代ものの掌編です。
なんだったらもうホラーといっても差し支えない……と言ってしまうとさすがに後輩くんに申し訳ないんですけど、でもその語りを聞かされる身としてはやっぱりホラーなお話。
不穏で不吉で、その原因というか「どうして」が一切明かされないところがなお恐ろしい……のですけれど。
しかし、なによりの魅力はその只中にいる後輩くん自身。
単純にキャラクターとしてとても素敵。どう考えても尋常でない状況を平然と語ってみせる、その底の知れなさがそのまま妖しい魅力となっているところがとても好きです。
分量にして1,000文字強と、サクッと読めちゃう手軽さもまた魅力のひとつ。
怖さと隣り合わせの魅力がギュッと詰まったお話でした。