2話(23)

 昨日ははちゃめちゃな一日だったなぁ。

 午後のHR中、ふと思う。


 ありすが無茶をして妖怪の世界に行っちゃうし、助けに行ったら花子さんが暴走しているし、こっちの世界に花ちゃんが来ちゃうし……。


 すっごく大変な一日だったのに、昨日の下校中、ありすは「楽しい一日だったねぇ」なんて抜けたことを言っていた。


 あんな出来事が起こって楽しいわけないじゃない!

 そう思ったけれど、あの出来事が起きたお陰で今日の放課後お楽しみができたんだ。


 キーンコーンカーンコーン


 そんなことを考えていたらチャイムが鳴った。


 ということはつまり、今日はもう放課後ってこと!

 楽しみ過ぎて、私はワクワク。

 早速、樹理ちゃんに声をかける。


 「部室、行こ!」


 *

 

 「……って、なんでありすがいるの!?」


 「あ、しょこらちゃん! まってたよ~」


 ワックワクで部室のドアを開けたら、そこにはありすが座っていた。


 「なんでここに」


 「なんでって、花ちゃんに会いに来たんだよ~。ね、花ちゃん!」


 「うふふ……うん!」


 二人は顔を合わせてにっこり笑う。

 

 花子さんこと花ちゃんは、しばらく新聞部に住んでもらうことになった。

 最初は酒天童子と一緒に私の家に住むって話だったんだけど、花ちゃんは元人間だから妖気が少ないらしく、学校から出られないみたいだった。


 だから、新聞部に住まわすことになったんだ。


 「まあ、花ちゃんに会いに来たなら仕方ないか……」


 今のところ活動を邪魔してる訳じゃないし、追い返す理由はないもんね。


 そう思っているとありすが話し出す。


 「そうそう。花子さん事件の被害者の子たち四人、今日から学校来てるんだ」


 「えっ、そうなんですか!?」


 樹理ちゃんは「よかったあ」と胸を撫で下ろす。


 「花ちゃんの暴走が止まったからなおったんだろうね。」


 「そうだね。」


 「その節は大変申し訳ありませんでした……」


 花ちゃんは俯いてそう言う。

 「謝れて偉いねぇ」とありすが花ちゃんの頭を撫でると、花ちゃんはえへへと顔を綻ばせた。


 花ちゃんは何であんなことをしたのか覚えていないと言っていた。

 こんなに可愛い笑顔を見ると、やっぱり花ちゃんが自分からあの事件を起こしたようには思えない。

 一体、何でなんだろう。


 そう考えていると、ガチャと音をたてて部室のドアが開く。鈴木先輩と鬼龍院先輩だ。


 

 「だからといって、妖怪の噂とかも流れてこない!!」


 だから、何もすることがないんだよね……。


 「お、花瀬。居たのか。丁度いい、話がある」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る