2話(19)

 「ここが屋上……だよね」


 「うん」


 普段は施錠され、立ち入り禁止の屋上。

 なのに、扉には鍵なんてかかっていないようき見える。



 ここを開ければ、ありすと花子さんがいる。何故か確信があった。


 「よし、行こう!」


 私は扉に手をかける。


 ギィ……


 扉を開けた瞬間、ブワッと空気が変わる。

 息が苦しい、そんな感覚。


 「あれぇ、こんなにたくさん!

 自分からココに来てくれるなんて、間抜けな人たちね」


 おかっぱの女の子が視界にはいる。

 あぁ、あの子だ。

 そこに居たのは、さっき掲示板サイトで見た、あの子そのものだった。


 待って、花子さんはいたけど……。

 ありす、ありすはどこにいるの?


 「うふふ、もしかしてこの子と友達?」


 花子さんは空の方を指差す。


 「あ、ありす!!」


 私の目に映ったありすは、黒の何かを纏いながら、だらんと力が抜けて空高いところに浮いていた。


 「この子は私の獲物なの。返しはしないわ」


 花子さんはニッコリと笑う。

 その様子は、この状況を楽しんでいるように見える。


 ありすをこんな風にして……許せない!


 「……ここは私の出番だね!」


 樹理ちゃんが一歩前に出る。

 そして、スカートのポケットからサッとお札を取り出した。


 「悪霊退散!!」


 「なっ……」


 樹理ちゃんの攻撃は花子さんに直撃。

 さすが樹理ちゃん……!


 「……っ!! 花瀬!!」


 後ろで鬼龍院先輩の声がした。

 え、ありす、ありすがどうかしたの?


 急いでありすの方を見ると、ありすの周りを纏っていた黒の何かが消えかかっている。


 「あのままじゃ、花瀬さん落ちちゃうんじゃ」


 鈴木先輩の声でハッとする。

 

 花子さんが攻撃で力を失ったから、あの紫の何かが消えてありすが落ちちゃうかもしれないんだ。


 どうしよう。


 「くそっ……!」


 鬼龍院先輩がありすの方へ走り出す。


 紫の何かはどんどんと薄くなっていく。


 「間に合え!!」


 お願い、間に合って…!!


 ……ドン!!

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