2話(13)

 「花瀬先輩、何かに気づいたのかな?」


 「そう……なのかな。ありすは気まぐれだし、何にも意味はないって筋もあり得るけど…」


 何か、真剣な表情だった。


 「花瀬先輩、出ていく前まで何してたっけ?」


 「えっと、被害者の人の写真と、最後はスマホを見てた気がする」


 「スマホかぁ……。じゃあやっぱり飽きただけかな?」


 「うーん……。どうだろう」


 「てか、髪ゴム二つって結局何だったんだろ? 髪結びたかったのかな?」


 「ううん。ありすは髪を結ぶことはほとんどないよ。あるとしても一つ結びだし……。」


 「じゃあ、髪を結ぶ以外になにか必要だったのかな?」


 私と樹理はうーんと頭を悩ませた。

 一体、ありすは何をしたかったんだろう。


 「オ! あの金ピカ女、どっかいったのか!」


 「あ、酒天童子! 起きたんだね」


 ロッカーの中から、よいしょと酒天童子が出てきた。


 「オマエラ、何話してたんだ?」


 「花瀬先輩が急にどっか行っちゃって……。それで、何でかなって話してたところ」


 「へー。それまでソイツ、何してた?」


 「写真見たりスマホ見たり……だったっけ」


 「写真? 何のことだ?」


 酒天童子は頭にはてなマーク。

 そっか。酒天童子はずっと寝てたから、何のことかわからないよね。


 「これだよ、今回の被害者の人たちの写真。」


 「フーン。よくわからないけど、みんなおんなじ頭してるな!」


 「頭って……あぁ、髪型のことね。たしかに、みんな二つ結びかも」


 「それだ」


 鬼龍院先輩が言う。


 「え、鬼龍院何かわかったの?」


 そう問う鈴木先輩をよそに、鬼龍院先輩はパソコンをカタカタと鳴らす。


 しばらくして、鬼龍院先輩はガタンと立ち上がってこう言った。


 「わかったよ、今回の犯人」

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