2話(9)
鬼龍院先輩は、手を顎にあてる。
私はありすが新聞部に入ること、どちらかと言えば反対派。
でも、このネタはすごい衝撃だったから第一条件はクリアになりそうかも。
「これ、大事件じゃん……!」
鈴木先輩はそういって、新聞部の腕がなるといったみたいに目をキラキラさせていた。
さすが、新聞部部長……。
そう思ってると鬼龍院先輩が口を開く。
「たしかに……うん。いいネタだとは思う。だけど、これ本当のことか?」
「それって、どういうことですか?」
樹理がそう問いかける。
「どうってさ、こんな事件聞いたことないじゃん。こんなに大きい事件なら、もっと校内で噂になってるんじゃないの?」
たしかに。四人も被害者が出て校内に噂が回らないのはちょっと変かも。
鬼龍院先輩は、ありすが条件をクリアするために作り話をしたかもって疑ってるわけか。
あんなに駄々をこねてたありすならあり得るかも、と思ってありすの方を見ると、本人はムスッとした顔をしている。
「だってこれ、二年生のフロアの事件だもん。一年と三年は知らないに決まってるよ、先生に口止めされてるし」
「口止め……?」
「そう。こんな事件校内に広まったら、みんな怖がっちゃうでしょ。そのせいで校外まで広まって変な噂たったら大変だし」
「……そういうことか。」
鬼龍院先輩はそう呟いてから、ありすの方を見て言う。
「うん……わかった。第一条件、クリアでいいよ」
「やった~!! しょこらちゃん、これで一緒にいれるね!」
「まだ第一条件クリアなだけだから先走んないで。第二条件クリアするまで、入部は認めないから」
「でも鬼龍院、こんな特大ネタ持ってきてくれたんだし、入部くらい」
「駄目だ。あっちも条件を了承したし、もう決まったことだろ」
はぁと溜め息をついたあと、鬼龍院先輩はありすをビシッと指差した。
「第二条件は新聞部に入れたときのメリットを行動で示すこと。入部したいなら、クリアしな」
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