1話(15)

 「あ、樹理ちゃん……おはよう……」


 「あ、翔子ちゃん! おっはよー! ……ってあれ、クマすごいよ!? どうしたの!?」


 「それがさ……」


 「よう、人間! 昨日振りだな!」


 「え、酒天童子!? なんで学校に」


 樹理ちゃんが大声で叫ぶと、クラスメイトの視線が全てこちらに向く。


 「す、すみませーん」


 樹理ちゃんはぺこぺこと平謝りをしたあと、ギロッと酒天童子を睨む。


 「がちで君のことすっかり忘れてた! ねえ、君、昨日結局翔子ちゃん家に行ったの!?」


 「そうだぞ!」


 何故か自信満々に酒天童子が胸を張る。

 こっちは酒天童子のいびきがすごくて、寝れなかったんだよ……そう小言を言うと、もー! と樹理ちゃんは酒天童子に説教を始める。


 「翔子ちゃんに迷惑かけちゃだめでしょ! そもそも、目立つなって言ったのになんで学校に……」


 酒天童子が知らないといった風にそっぽを向く。

 こりゃあ駄目だ。


 二人が言い合っているのを横から見ていると、ピンポンパンポンという放送が聞こえる。何かの呼び出しかな?


 「ごほん。

 新聞部員に連絡です。今日の放課後、旧校舎の部室にて、部活動を行います。繰り返します――」


 その連絡を聞いて、私と樹吏ちゃんはバッと目を合わせる。


 「「新聞部、初活動だ!!」」

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