悲しくても痩せても君を覚えていただろうか。

明鏡止水

第1話

あるところに、変わった模様の猫がいた。

立派なオスネコで、周りの縄張りを守り、女子供を助けていた。

あるとき、三毛猫の可愛いこと恋仲になった。

子猫が増えてはたいへん、と。三毛猫は手術された。

でも愛は変わらなかった。

ある日、悲惨なことが起きた。近所で猫の足や、ガスバーナーで猫が焼かれる動画が嘘か誠か上がったのだ。

三毛猫はいなくなった。

オスネコは探し回った。ちがうよね?死んでなんてないよね?熱い想いなんてしてないよね?ぼくは君を守れなかったわけじゃないよね?

オスネコは、猫エイズになった。痩せて背骨と尻尾は繋がっていると教えてくれる。脚は硬くなり動かせないと教えてくれる。

小便は垂れ流しで歩こうにも歩けないだから。

最後の日くらいは。

最後の力を振り絞って、猫トイレは行った。

夏の暑い日。火葬か土葬か。家族は迷った。

ぼくは、大した猫だった。

いつかまた、かならず、三毛猫の子と会って、夫婦になりたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悲しくても痩せても君を覚えていただろうか。 明鏡止水 @miuraharuma30

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ