第2話 朝暮れの眼光
少し昔の事を思い出していた。
その日目に映った花は僕の眼を縛りつけた。
根を張るのにそう時間はかからず、その花は僕を酷く蝕んだ。
そしてその花はとても綺麗に散っていった。
散るのが花の美学だとしても、あれだけは造り者であって欲しかった。
ーーーーくだらない幻想に浸っているうちに大学が目に入る。一刻も早く、そう思い私は足を速めた。
幸いにも教室は正門の近くにあり、すぐ着くことができた。
安堵した私は、ハンカチを丹念に探した。
しかしどうにも見つからない。
教室の外かもしれないと体の向きを変えると、
ふと足音が聞こえた。私はとっさに物陰に隠れたが、
よく見ると、そこにいたのは茶髪の可憐な少女だった。
私は安心したと同時に不思議に思い、彼女に問いかけた。
「君はどうしてこんなところに?
まだ中学生にもなっていないだろうに危ないじゃないか。」
少々過保護気味に言ってしまったことを反省し、
彼女の返事を待った。
「私もなんでここにいるのか分からないの。ここはどこ?」
あれ?嘘だ。そんなはずはない。
私の初恋はもう散ってしまったはずなのに。
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