第15話 狂おしい程愛してるパート3
「おはよう小花、紗枝。」
優吾くんが教室に入ってくるなり私と紗枝に優しく声を掛けてくれる。その姿があまりにも神々しくて、私は思わず手を合わせそうになった。
優吾くんはいつ見ても飽きないな。スラッとしたスタイルに、意外と目鼻立ちは整っているし、整えられた黒髪は艶めいている。彼は、私にとってまさしく神のような存在だった。
私は優吾くん以外の人を愛するだなんて考えられない。ずっと、一生彼と一緒に居たい。片時も離れたくない。ずっとそう思いながら生きてきた。
それがやっと叶うんだ。私の努力が遂に実を結ぶんだ、と思えば笑みが零れて仕方なかった。
「優吾くん、昨日のドラマどうだった?」
私が尋ねると彼は私の目を見て優しく微笑んだ。その姿があまりにも可愛らしくて、思わず胸が高鳴る。
「ドラマか〜俺は観てないな。課題で忙しくてつい忘れちまった。」
頭を掻きながら照れ臭そうに言う彼。その姿を写真に収めたくなってしまう。彼の写真が欲しくて堪らない。
「優吾くんって優しいよね。まるで神様みたい。」
思わず口を継いで出る本音。私の言葉に優吾くんが少し戸惑う様子を見せる。そんな彼の様子ですら愛おしくて愛おしくて仕方がなかった。
すると教室の扉からこちらを物凄い形相で見つめている少女と目が合った。
こいつは確か、2年の水瀬彩夏。毎日毎日優吾くんを無理やり食事に誘っているヤツだ。
彩夏の視線は明らかに私の方に向いていた。それとは打って変わって、ヤツが優吾くんに向ける視線はやけに熱かった。
すると、彩夏の存在に気が付いたのか優吾くんは私に一言断りを入れて教室の扉の方へと向かって行く。
けれど、私の目から見て優吾くんは彩夏に言い寄られて困っているようにしか見えない。
早く彼をヤツから助けてあげなくては。私はヤツの方に向かって行き、その耳元で
「優吾くんは私のものだから。」
と囁いてやった。ヤツは奥二重のやや大きな目を見開いた後、私を凍てつくような目で睨み付けてくる。私は敢えて余裕そうな表情を浮かべると、
「優吾くん、そろそろ授業が始まるから席に座ろう。」
と言って彼の手を引く。私の背後からは相変わらず殺意の籠った視線が降り注いでいた。
それからは優吾くんといっぱいお喋りをして過ごした。学校が終わって家に帰ってからも彼のことが忘れられない。
私は優吾くんにメールで
「優吾くんの顔写真が見てみたい」
と書いて送った。それから10分程経ってから彼のトーク画面を開くと、顔写真が1枚送られてきていた。
お風呂上がりなのだろうか。彼の艶やかな黒髪は乾ききっておらず、まだ濡れている。
濡れた髪の毛をオールバックにしている彼は信じられないくらいに神々しい。
私は迷うことなく彼の顔写真を保存した。そして、至る所を拡大して眺めてみる。
そんなことを繰り返しているうちに1時間も経ってしまった。それでもまだまだ見足りない。一日中見ていても飽きないくらいだ。
(優吾くん、あなたは私の神様だよ。だからずっとあなたを感じていたい。)
そう思いながら私は写真の中の優吾くんに優しく笑いかけた。
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