3年の花束を。〜高嶺の花と孤高のボッチと〜

アキノリ@pokkey11.1

1、何故か俺にだけ口が悪い

華という存在

第1話 高嶺の花と孤高のボッチ

クラスメイトの。若しくは日本中に行っても恐らく誰からも愛される存在。

高嶺の花であり名前が高峰凪保(たかみねなぎほ)というこれまた愛されている様な名前の究極の美少女。


黒髪の長髪に向日葵の髪留めを前髪に。

目が大きい様なアイドルの様な.....うん。

とにかくメチャクチャな美少女。


非の打ち所がない。

体育も勉強も何もかもが得意分野であり。

本当に何処をもってしても最高峰。


相変わらずだな、と思いながら俺、山寺空(やまでらそら)は窓から外を見る。

逆にしてみてはどうだろうか?

空はボッチであり友人が居らず。


まあ成績も2位止まり。

これはまあ問題無いとして、究極、と言える程にボッチ属性なのが問題かもな。

ちょっと不便だ。


「空。何その溜息。幸せが逃げるんだけど」


「お前さんに向けて発したものではない」


「あっそ。でもさ。本当に貴方は誰とも仲良くならないよね」


「俺は孤高のボッチが気に入っているからな。気にするな」


「いや。そう言っても気になるんだけど。私が学級委員だから」


「口が悪い事を除けば最高だな」


「貴方って本当に.....嫌」


膨れっ面をする凪保。

ほっとけ。


その凪保はクラスメイトの全員から。

いやまあ多分だけど学校中から愛されている。

そんな凪保は恐らくだがこの世界で嫌いなものが1つある。

それは何か。



である。

友人なのにまあ嫌われている。

丁度1年前からこの調子であるのだ。

俺は用事のあると思われる女子生徒の話を聞く凪保をチラ見してからそのまま外に視線を動かす。

構わず俺は大欠伸をした。


「それにしてもまた喧嘩してるぜアイツら」


「そうだな。マジに」


「何で凪保さんはアイツなんかに構うんだ?」


「意味分からんよな」


それもまたほっとけ。

考えながら俺は外を見る。

すると、ねえ。悔しくないの?あんな風に言われて、と凪保がジト目で見てくる。

俺は肩を竦めながら、何が悔しがる必要があるんだ?むしろまたボッチになれるしな、と答える。

凪保は、は?、と理解し難い目を向けてくる。


「お前さんにゃ分からんか」


「何それ?嫌味?」


「いえいえ。嫌味とかでは無いですぞ」


「嫌味だね。.....うわ。最低」


「そう思うか?なら放っておいてくれ」


「だからそういう訳にはいかないって言ってるよね?私は委員だから」


面倒臭。

まあそう思うのは勝手だが。

俺は考えながら居るとチャイムが鳴った。

それからドアが蹴り破られるかの様な感じで担任がやって来る。

それを一瞥してから俺はまた大欠伸をした。



「ねえ」


「.....何だ今度は」


「次の時間は移動教室だけど」


「.....そうだな。で?」


「で?じゃないよ。何時も遅くに動いているよね。そんな感じで動いたら先生に迷惑掛かるから。早めに動いて」


「それはお前にとっても迷惑か?違うよな?」


移動教室の時間で喧嘩になっていた。

俺は口をへの字にしている凪保を見る。

凪保は見るからに腹を立てている。

その姿を見ながら溜息を吐いた。

すると凪保は、何でそんなに人を嫌うの?、と聞いてくる。


「.....人を嫌うとは?」


「だってそうでしょ。貴方が遅くに行くのは声を掛けてもらってほしく無いからだよね。それぐらい私、見透かせるから」


「まあそうだな。分かっているなら俺の調子で行くよ。この先も」


「.....クラスメイトと絶対に仲良くする気ないの?」


「無いと言ったら嘘にはなるかもしれないが有ると言っても曖昧だ」


何その答え。ワンパターンにして、と不愉快そうに見てくる凪保。

こういう答えにしたのは凪保の心を落ち着かせる目的もある。

クラスメイトもちらほら居たので襲われない様にする為に暗示したのもある。

凪保を見ると凪保は、もう良い、と言いながらそのまま去って行った。

そんなクラスメイトはジト目で俺を見ている。


「しかしまぁ」


これは逆効果だったかな?、と思うが。

やっちまったもんは仕方がない。

俺は溜息を吐きつつ俺は窓から外を見る。


何であんなに凪保は絡んでくるのか。

全く分からない。

俺なんかを心配されても意味が無い。

そもそも.....いや。

止めておこう。


「.....下らなさすぎる」


芋蔓式に思い出してしまった。

悪態を吐いてみる。

それから俺は唇を噛んでから立ち上がった。


代々医者の家系?俺が医者?

くだらなさすぎる。

バカみたいだ。


「さて。そろそろ移動しますか」


くだらない事を考えてしまった。

そんな事を呟きながら俺は立ち上がる。

周りに人気が無くなった。


するとドアの付近。

髪がぴょこんぴょこん動いていた。

俺は額に手を添える。


「何で居るんだお前は」


「んば!?わ、私は忘れ物をしたから!」


「.....?」


人がもうあまり居ない廊下に凪保が居た。

忘れ物.....?

有能な凪保が、か?

有り得ないな。


思いながら凪保を見ていると。

しどろもどろで、取って来るから待ってて!、と怒った。

何で怒るんだ?

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