5-2
「一つ、お願いがあるのですが……」
「聞きましょう」
「最後に彼女と、フレシネと話がしたい。それが出来る人を派遣していただけると伺ったのですが……」
「ええ、まあ、可能です。ですが、本当に良いのですか?」
「どういう意味でしょう?」
そんな事を聞かれるとは露ほども思っていなかったのだろう。明らかに困惑していた。
「私の能力は【
「……記憶を」
「そう、もし対象の記憶を全て奪えば、それは死と同義と言えます」
ロブマイヤーはそこで初めてローブを脱いでカヴァにその身を晒す。その左腕には絹帯を巻きつけた人形が鎮座していた。
「そして、彼女はフィオーリ ビアンキ シャルドネ フリッツァンテ。フィオーラの能力は【
「そういう……事でしたか」
カヴァは自分とその国民がこれからどうなるのか、おおよその想像がついたのだろう。思わずといった体で自分の頭を撫でていた。
「そう、あくまでも再現です。生き返る訳ではないし、戻す事も出来ません。そして今から見せるのは貴方の理想や願望ではなく、フレシネ様の『記憶』です。そこには、まだ貴方の知らない残酷な現実が隠れているかもしれない。どんな結果になろうと責任は持ちませんし、必ず報酬は頂きます。それでも良いのなら、貴方の記憶を奪うのは最後にします。いかが致しますか?」
それを聞いたカヴァは、ゆっくりとフレシネの方を見上げ、暫くそうした後、ポツリと呟いた。
「お願いします」
フィオーラの眼が見開かれた。
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