　気分が落ち込むと生姜料理を食べることにしている。あの頃よく作っていたのが、麻油鶏。台湾の郷土料理である。

　生姜を輪切りにする。

　鶏手羽先はフォークで数ヶ所を刺して穴を開ける。

　鍋にごま油、生姜を入れて香りが立つまで弱火で炒める。

　手羽先を入れて、手羽元に焼き色がつくまで中火で焼く。

　酒を入れて中火で熱し、ひと煮立ちさせてアルコールを飛ばしたら、残りのスープの材料を入れ、蓋をして20分程煮こむ。

　手羽先に火が通ったら蓋を外しかき混ぜる。

　火から下ろし、器に盛り付けて完成。

　初めてこれを作ったのはいつだったか。酒を断った頃だったのは覚えている。一人になって考え込む時間が増えた。薬膳料理でも作ってみるか、と鍋と向き合い作ったは良いが、一人分と言うには多すぎる量で、その週の晩飯は麻油鶏になってしまった。

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