雨上がりを祈るスープ
上京して付き合いのあった相方が低気圧に弱い人だった。雨の日なんて最悪で、そこに生理が重なった日は地獄だった。
罵倒される。ありとあらゆる言葉を尽くして浴びせられる非難轟々は、外の雨にも負けず劣らずの強さだったのを覚えている。
そんな日に作るのは、アプレラプリュイ。フランスの田舎のスープだ。
雨上がり、なんて気取った名前のスープであるが、その実態は野菜くずのスープである。作り方は以下の通りだ。
ジャガイモ、ニンジン、適当な山菜を冷蔵庫から回収する。
それを水洗いしながら傷んでいる物や箇所を切り落とし弾く。
ピーラーや包丁、まあ何でも良いが細かく切り刻む。そのまま飲み込んでも問題ないサイズにするのが重要だ。形は不格好で良い。
台所に転がっている鍋に刻んだ野菜を入れて、最低でも野菜が浸るぐらいの水を入れる。
そこに固形のブイヨン、無ければ鶏ガラスープの素を入れて、鍋を火にかける。
沸騰したら弱火にして、塩コショウで味を整えたら45分程度弱火で温めて完成だ。
野菜クズの調理は手早く済ませて、温めている間に相方の機嫌を取るのがこの料理のコツである。
これをお茶碗にもって食べさせた。青臭いやら肉がほしいなどといった文句は気にせずに、木製のスプーンで相方の口に入れる。
あ~、と口を開いて可愛くない顔をして食べてくれたのは覚えている。
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