私のレシピ帳
あきかん
海賊焼き
私の田舎には海賊焼きという郷土料理がある。四国あたりの網焼きの事ではなく、西伊豆のイカ墨の焼きそばの事でもない。
郷土料理として名産品にするような大層な物ではなく、ぶっちゃけて言えば手抜き料理。その作り方は以下の通りだ。
魚を開く。
干物用の塩水につける。
冷蔵庫に入れる。
食べたい時に取り出す。
水を拭いて魚を焼く。
読んで想像出来る通り不味い。まずは臭いがキツい。干物で消されるはずだった魚の青臭さが直に鼻に来る。次に、歯ごたえが悪い。塩水に浸かった魚の肉をそのまま焼くのだ。上手い道理がない。浸透圧の関係か、少ししまった魚の肉はその分旨みが逃げている。泣きたくなる。最後にこの料理は塩っぱい。救いようが無いほど。干物用の塩水に漬け込んでいるのだから当たり前だ。
臭い、不味い、塩っぱいの三拍子揃ったこの料理を昔はたまに食べていた。酒のアテに良いらしい。父親が好んでこれをつまみながら酒を呑み、私達はこれをおかずにご飯を食べた。
普通の塩焼きか干物にしてくれよ、とは当時は思わなかったが、今では何であんな料理を食べていたのかと不思議に思う。
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