神様からの試練を与えられた者
辻本 寧緒
プロローグ
「どうしてこんな簡単な計算が出来ないの!?」
時間の逆算の最中に、母が私に対して怒鳴ってきた。
聞かれても分からないから出来ない。そう答えるしかなかった。
だが、確実にそう答えたら、怒られるのは目に見えていたので、「分からない。」とだけ、答える。
すると、母はソファーに腰を掛けた。
「はぁ……。もういいわ。」
それだけ言い、スマホに目を落とす。
私は、無言でリビングの扉を開け、階段を上り自分の部屋へと向かう。
ガチャッ。バタン。扉が閉まったのを確認し、私はようやく口を開いた。
「…なんで皆と違うんだろう。」
私は物心ついた時から、この違和感「周りとずれている」事に気がついていた。
けれど、その違和感は分かることなく17年経っていた。
年齢を重ねるごとに、違和感は増えていった。それと同時に、私に対する周りの目も変わっていった。
「何で出来ないの?普通出来るよ。」
「おかしいよ。なんでまた同じ事話すの?」
周りと同じ行動が出来ない、周りと同じ様に計算が出来ない。等といったことがあり、いつしか虐めを受けるようになっていった。
母親や父親からも「普通じゃない」「どうして出来ないの?」と不思議な目を向けられてばかりだった。
その度に、分からないと答えてきた。
私は、いつしかインターネットの世界へと逃げるようになった。
なんで?と疑問を投げかけられない唯一の場所だったから。
そして、ネットに慣れた頃、配信を始めるようになった。
今度こそ普通になれる事を願って。配信を始めた。
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