続裁判所からお手紙が届いた件

カフェ千世子

第1話

 前回のあらすじ

 私が借りてる物件のオーナーが借金を返せなくなって、私の払ってる家賃が差押えの対象になった。



 5月に差押命令の催告書が届いた。

 家賃が差押え対象になったが、裁判所に書類を提出した後は普段通りの生活を送っていた。

 引っ越した方がいいとは思いつつ、ぼちぼち貯金していけばいいかと考えていた。


 6月。サイゼリヤ株買おうかななどと考えていたある日のこと。マンションのエントランスに入った瞬間、すべての部屋の玄関の扉に同じ色の封筒が刺さっているのが見えた。


 ! これは! と思って、自分の部屋の扉を確認する。やはり、同じ色の封筒がある。

 中身を確認。


 神戸地方裁判所からの通知及び照会書。


 神戸? 前回の差押命令はさいたま地方裁判所から来てたのに。

 そして、その内容は。

 競売開始決定!

 調査のために立ち入り!

 賃貸契約書の写しと賃料の支払いが証明できる書面を提出!

 預金通帳の写しなど3か月分を回答書に添付!

 立入調査期日に不在の場合、解錠して立入!



 うわーーーー! やだーーーーー!

 立入調査やだーーーー!

 預金通帳WEB通帳だから、写しとかどうしよーーー!


 困ったねえ。本当に困った。付き合ってられんわ。引っ越そう。


 7月半ばの立入期日までに引っ越してしまおうと動き出したのだった。



 そうは言っても、回答書は提出しとくべき。と思う。預金通帳の写しは3か月分をWEBからダウンロードして、パソコンから出力。これでいいのかと疑問に思いつつ、回答書に添付する。


 引っ越しを決めた途端にエアコン壊れた。死ぬかと思った。


 物件探しからスタート。平日は集中できなかったので、土曜日にネットから気になる物件のメールフォームに入力、送信。

 そんなすぐ連絡ないだろうなと思って外出しようと車に乗って、コンビニに寄ったところで電話が来た。

 今から大丈夫ですかと聞かれて、大丈夫ですと答えて不動産屋へ。

 このスピード感よ。


 条件を提示して物件の間取り図などを見せてもらう。

 譲れない条件は、室内に洗濯機置き場、2階以上、近隣に駐車場。後、エアコンは必須。

「なんで引っ越そうと思ったんですか?」

「住んでるところが競売になったので」

「ああ。出てましたね」

 やはり、そういう情報はすぐに見れるようになってるんだね。


 話題が管理会社の話になったので、多少愚痴る。

 最初に契約した時は管理会社はNと言うところだったのだが、後にTと言うところに変わったのだ。

 Nは物件の近くの会社だが、Tは東京にある管理会社である。

 不動産屋の人曰く、Nはあまり評判がよくないとのことだったが、私はTに不満があった。

「Tと言うとこに変わってから、全然共用スペースが掃除されなくなったんですよ!」

「そうなんですか? 東京に管理会社があっても、普通掃除は定期的に委託しているもんですが」

 しかし、階段には蜘蛛の巣が張り、チラシを捨てる用のごみ箱はあふれかえってることが常態化していた。


 なぜTに変わったんだろう。管理費用が安かったんだろうか。


 住んでる間にいろいろあった。大きな台風が来たときは本当にやばかった。

 台風でベランダの仕切りが割れたり、廊下の天井板が落ちたり、エントランスの扉のガラスが割れたり。

 あの時の修繕費用がかさんだのも、原因の一つだろうか。



 物件を2個に絞ったが決め切れず。後日、違う時間帯に見て決める。

「いつ引っ越しますか?」

「え? えーと……」

 夏にエアコンなしの状態が地獄過ぎて、今すぐにでも引っ越したい。

「最短でいつになりますか?」

 立入調査の前の土日はいけるかと聞いたが、さすがに無理じゃないですかねとの返事。だが、一応聞いてみるとのこと。


 いけると信じて、動く。

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