第3話
今日もまた5時に起きる葉山裕二。彼は規則正しい生活を送っているが、とても孤独だ。スマホゲームさえあれば生きていけると思っているが、果たしてそれでいいのだろうか。
会社でも葉山裕二の事を好きだと言ってくれていた同僚がいたが、彼が何も反応しないので会社を辞めてしまった事もあった。
「おはようございます」
スマホゲームのチャットに挨拶をする。すると夕方とは違い即座にコメントがあった。
「おはようございます。今日も早いですね。あ、戦力上がりましたね。凄いです。おめでとうございます!」
「ありがとうございます。マリエルさん無課金卒業して課金したので戦力爆上げしました」
葉山裕二は笑顔で返答した。メフェエレは大ヒットゲームだが、チャットはサーバーごとに区切られているので静かだから単純に絡んでくれるだけでも貴重な事だ。
「そんなに強いならギルド入らないんですか?」
「ギルドはギルドバトルの報酬ショボイので入らなくていいかと思ってます」
「えーギルドチャット盛んだし、絶対入った方がいいですようちに来ませんか?」
「えーどうしようかな」
「絶対楽しいですって今ならサブマスターいるしすぐに入れますよ」
葉山裕二は悩んでいたが、少し生活に変化が欲しくて入ってみる事にした。
「よろしくお願いします」
「わーい嬉しい! よろしくお願いします」
ギルドに入るととりあえず挨拶をした。少し緊張きてドキドキする強い人がいたらどうしようと。
「おう新入り戦力たったの500万かよ。俺は1500万だ。つまり俺はお前より3倍偉い。俺を敬え尊敬しろ」
「え? ゲスティニーさんなんでそんなに酷いこと言うんですか!? 私には戦力なんか関係ないいてくれるだけでも有難いって言ってくれたじゃないですか」
「男と女は別なの。弱い男に人権はねえの」
「そんなの酷いです」
「酷くない男は狩りに出て、女は穴……いや、家を守るものなの」
「は? 何ですかそれ理解出来ません」
マリエルと尊大な男ゲスティニーの言い合いは続く。葉山裕二は唖然としていた。戦力1500万でここまで偉そうだとは驚きだ。凄い人だと戦力1億7000万はあり、億り人と尊敬を集める。つまり、500万と1500万はほとんど同じなのだ。駆け出し仲間である。
「ハイハイそこまで!」
「ギルマス今日は早いですね」
「アサオカさんおはようございます」
ギルマスのアサオカの登場で静かになった戦力は3000万割と課金している。これは単純に凄いと思う。
「ユウジンさんよろしくね。ギルマスのアサオカです」
「よろしくお願いします」
「うちは課金推奨してないからゆっくりしていいよ。じゃあ、またね」
課金推奨してなくてもゲスティニーにデカい顔されたくないので課金頑張るしかないだろと葉山裕二は思った。このギルマスのアサオカさんはいいライバルになるなと思った。葉山裕二の中では戦力3000万が目標となった。
「お、ギルマス落ちた。おいお前課金しろよ。でも俺様より強くなるな」
「それは約束できません」
「俺の命令は絶対だ」
「そんな命令聞けません」
「なに? 戦力500万の癖に偉そうに」
「なら今から課金してあなたより強くなります」
葉山裕二は昨日課金した23600円でダイヤを12000と毎日更新される課金ボーナス10000ダイヤをゲットしていた。無駄な使い方はしたくないので限定キャラのガチャを回す事にする。少し課金して30000万ダイヤにしてからガチャを10連を10回回して合計100連だ。これで天井確定で限定キャラが手に入る。
100連の間に限定キャラは出ることがなく、天井でお迎えとなった。運が悪い。が、素材となるキャラが沢山出たのでフリーレンズが赤になった。
憎しみから来る課金では葉山裕二の運の良さが出なかったのかも知れない。物欲センサーが無いのが彼のいい所だったのだが。
「これで戦力700万限定キャラも無事ゲットです。追いついて追い抜きますよ。俺は」
「このゲスティニー様を追い抜くだと生意気な!」
「おいおい調子に乗るなよ」
「は? ギルマス!?」
葉山裕二が宣戦布告しているとギルマスのアサオカが現れた。
「ゲスティニーお前クビな」
「は? 戦力1500万の俺様が!?」
「じゃあな、ポチッと」
「よかったこれで平和になりますね。私には優しかったのでいい人かと思ってました。まさかこんな差別的な人だったなんて」
朝から濃い時間が流れていたが、不快な気分が少しスカッとした。葉山裕二は不快な表情から笑顔になっていた。
「俺はそろそろ落ちますね。変なやつに刺激されて課金しちゃったので今後は控えないと」
「そうそう課金なんかするもんじゃないよ。じゃあ、夜のギルバトでまたね」
「はいギルドバトル初なので活躍できませんがよろしくお願いします」
「私も全然弱いけど頑張ってます。では、夜にまた。うふふ、夜にまたユウジンさんに会えて嬉しい」
「俺も嬉しいです」
「おーラブラブだね。おっちゃんは嬉しいよ仲良くしてくれて」
こうして葉山裕二のギルド生活が始まった。相変わらずワールドチャットは静かだが、ギルドチャットは嵐のようだった。仕事を終え、夜となり再びギルドにログインした。
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