深緑の花婿
立菓
僻地にて
初秋のある日。早朝、
護衛の武人たちが盗賊と乱闘していた時、森の中から、
その娘は怒りに満ちた目をしていたが、感情的になり過ぎてはいなかった。
(また、アイツが居るっ!)
大柄で、
足場の悪い枝の上から、ほとんど姿勢を崩さず、彼女は一点を見ることに集中していた。
(絶対に、逃さないっ!!)
微かな風が止んだ一瞬を、娘は見逃さなかった。盗賊の頭の首へ真っ直ぐに、ヒュンッ……と矢を放した。
すると、コノハが射た矢が、悪者の
その後、盗賊の頭はすぐに息絶えたのだった。
「おっ……、お、お頭が討たれたっ!」
「誰だっ、討ったのは!? あそこの木の上に居る、小僧かっ!」
「いや、女だっ。……あ、あいつはっ、きっと山の神の化身だぁ!!」
「そーにちげーねえ!! 逃げろっ。逃げろぉーっ!」
そうして、盗賊たちは全員、青白く顔色を変えて、一目散にあちらこちらに逃げて行ったのだった。
後日、実野谷の
そして、その国司は現天皇と仲が良いこともあり、数日後には弓使いの娘に関する情報が、自然と天皇の耳にも入ったらしい。
天皇は娘の功績を
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