月光仮面
健さん
第1話
私の名前は、松野みどり34歳。娘の由紀5歳。3年前に旦那と別れた。旦那の浮気と、ギャンブル狂が原因で離婚。私は現在派遣社員として働いているものの、派遣の仕事のため安定しない。お呼びがかかれば、行くが、なければ、”日銭”は、ない。今月も、あと1週間で月が替わってしまうが、10日しか、稼働していない。お腹が、減っても、娘にだけは、食べさせなければいけないので、近くの、スーパーで、値引きする時間を、見計らって買いにいく。お米は、何日か前に友達から、おすそ分けしてもらい、あるのでおかずだけ。昨日は、もやし15円と、ブタのこま切れで、230グラムで150円。それだけ。1日食費を400円に抑えている。私が、食べなくても。風俗の仕事も考えたが、ダメ私にはできない。それでも、最悪の事態になったら、もう、なりふり構わずやらなければと、覚悟は、出来ている。もう、最終手段だ。前の旦那の借金が、200万近くあり、これも、返済している。旦那の居場所もわからず行方不明。私が、連帯保証人のため、全額私が、払うのだ。しかも、全部ギャンブルで作った借金だ。友達に言われ、何日か前に市役所に生活保護の申請に行った。その担当の職員は、30代の男性で、”上から目線”。しかも、小馬鹿にした態度で、「一応アパートあるんでしょう?仕事だって、安定していないかもしれないけど、あるじゃないですか。ここに来る人は、住むところも安定しない人や、仕事もない人が、来るのです。あなたは、まだ、大丈夫ですよ。」返す言葉がなかった。役人目線で、ほんと、腹立たしい。結局、けんもほろろで、話にならなかった。ある時、娘の由紀を、幼稚園に送り出すので、マイクロバスが、車で、近くの公園で、待っている時、ママ友どうしでの話。「ねえ、知ってる?”あのアパート”に住んでるらしいんだけど、”変人”が、いるのよ。」「変人?」と、聞き返すと、「そうなのよ。なんせ、格好が凄いのよ。昔のテレビヒーローの月光仮面の格好していて、よく、宝くじを当選させて、小学校とか、養護施設などに、寄付しているらしいわ。この前は、小学校にランドセル10体寄付したらしいわよ。」「月光仮面というよりも、ダテハヤトのタイガーマスクみたいね。」「聞いた話だと、”自分は、ノストラダムスの生まれ変わり”だとか、言っていて、大きな水晶玉で、予言?して宝くじ当てているみたいよ。」「へえ~いくつ位の人なの?」「はっきりは、わからないけど、50代後半ぐらいらしいわよ。」そのうち、幼稚園のマイクロバスが、来て、由紀を、見送った。ママ友に詳しい場所を、聞いた。なんだ、私の住んでるアパートのすぐ近くじゃない。うちから、300メートル位歩いた右側の小汚いアパートだ。その、2階の1号室らしい。何か、とりつかれたように、興味を持った。直接訪ねるのもあれだし、ちょっと、一目見てみたい衝動にかられた。日頃”月光仮面”の格好しているなんて、ほんとうに、よほどの変人だわ。この日も、仕事もなく、なんとなく、時間が、過ぎて、今の時間は、2時30分。(由紀を、公園に迎えにいかなければ。)そして、道中、”そのアパート”を横目で見ながら、公園に向かった。公園に着いたと同時にマイクロバスが、来た。先生に、挨拶をして、由紀と一緒に歩いた。「ママ、今日ね、プリンが出たの。」「へえ~、美味しかった?」「うん。毎日食べたい。」「由紀ちゃん、ごめんね。毎日食べさせたいんだけどね。」と、話していると、ちょうど、”あのアパート”の前。すると、どこから、出てきたのか、”月光仮面”登場。あまりの、姿に体が、膠着してしまった。私、34だけど、テレビでも、見た事がない。多分、私の両親の世代?のヒーローだろう。由紀も、とんでもないものを見た感じで、目が、”点”状態。すると、月光仮面階段上ったが、”衣装のマント”に足が、引っ掛かり、転倒してしまった。あっ!!大丈夫ですか?私は、思わず、叫んで、肩を貸して、2階の部屋まで、連れて行った。「やあ、かたじけない。」と、月光仮面。いつの時代の言葉だか。「いえいえ、大丈夫ですか。捻挫とかないですか?」「だいじょうぶじゃ。それより、中に入ってお茶でも、飲んでいかんかね。」私と、由紀は、部屋に招かれて入った。(ほんとだ。水晶玉がある。)「ねえ!おじちゃん、どうしてそんなおもしろい格好してるの?」と、由紀。「おチビちゃんは、月光仮面しらないかな。おじちゃんが子供のころ、再放送で、よくテレビで、見ていて、おじちゃんが、ウルトラマンよりも、また、タイガーマスクよりも大好きなヒーローなんじゃ。ところで、お宅らは、旦那さんいるのかい?」と、今度は、私に話を、振ってきた。「旦那とは、別れて今、この子と、2人暮らしです。生活大変なんですが、何とか、頑張っています。」「あっ、そうかね。痛、痛。」「大丈夫?おじちゃん。」と、心配そうに由紀が、聞く。「ちょっと、さっきの転倒で、足捻ったみたいじゃのう。」私は、廻りを見て、シップを見つけた。「シップあるみたいだから、痛いところに貼りましょうか?」「悪いのう。お願いする。」私は、痛いというところに湿布を、貼った。「家は、近いのですか?」「300メートル位歩いた右側のアパートのハイツ清水の202号室です。」そして、少し生ヌルかったが、お茶をごちそうになり、帰路に着いた。翌日の朝、玄関ポストを、何気なく見ると、茶色の封筒が。何だろう??早速中を開けて見ると、一枚の宝くじが。それと、手紙が。(昨日は、ありがとう。あの時は、言わなかったが、私にも女房と、子供がいた。ちょうど、あんたら親子と同じくらいの年齢の時に、交通事故で、亡くした。凄い懐かしく感じました。これからも、色々大変でしょうけど、頑張ってください。あなた達の幸せを、願っています。それでは。)あっ、そうだったんだ。「ママ、どうしたの?」と、由紀が、起きてきて、言った。「昨日の月光仮面のおじちゃんが、宝くじくれたのよ。1万円くらい当たってればいいけどね。うふふ。」そして、宝くじ売り場に。(17組 103776)”おめでとうございます!!!1000万円当選してます!!えっ!!!!月光仮面にお礼に行かないと。そして、由紀と一緒に、アパートに行くと、もぬけの殻だった。いない??どこに、引っ越したのかしら。すると、由紀が、空を、見ながら言った。「おじちゃん、月に帰ったんだね。」
月光仮面 健さん @87s321n
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